先日、明治座で行われた「第五回 古典芸能を未来へ~至高の芸と継承者・講談」を観に行きました。主催はNHKエンタープライズで神田伯山さんとお師匠の松鯉先生を中心に伝統芸能を担う方々のパフォーマンスが楽しめるとのことで、かなり楽しみにしておりました。

はじめの伯山さんの「お楽しみ」から始まりますが、何せ講談のセットと舞踊のセットが入り混じる舞台だったので、一演目が終わる毎に入れ替え作業が大変なので、舞台の合間にも伯山さんが基本出ずっぱりで、幕が下りている間に各舞台の紹介などを行ってくれて(ほぼ司会?)それがとても楽しかったです。伯山さんは歌舞伎がお好きなので、巳之助さんの舞台の前に、坂東三津五郎さんの舞台を観て、そのプロ意識に感銘を覚えたことなんかをお話してくださって興味深かったです。

浦島はいつも歌舞伎座でよく拝見するお囃子の方々がずらっと並んでいて安心感がありますね。浦島は初見で、恋をしている若者らしい表現から、玉手箱を空けた後の動きの変化などが面白かったです。

 



お岩誕生は、いわゆる四谷怪談のエピソードゼロ、なんだそうです。私は四谷怪談しか拝見したことがなかったので余計、(めぐる複数の因果が)怖かったです。伯山さんがフリートーク中、冗談交じりで、怖い話をする時は実際に冷房を更に下げると名演になる、というようなことをおっしゃっておられたのですが、お岩さんの母であるお綱さんが霊に遭遇してしまったところなんか、本気で寒くなってしまいました^^;凄い技量!

のちほど改めて聞かせていただいた松鯉先生の乳房榎も同様、最後のシーンでかなり冷えました。明治座の場内、本当に冷房は下げてなかったのか、とても気になりました(笑)。そういえば伯山さんはこれまで2回位、講談を聞きに行ったことがあったのですが、松鯉先生の講談は初めてで。御年81歳とは思えないはっきり安定した、耳や脳にすっと入ってくる語り口調で、素晴らしかったです^^。改めて講談の世界観もイイなあ、なんて思ってしまいました。

それから、源平の那須与一のエピソードを舞踊にした「与一の段」も、菊之丞さんを筆頭として染五郎さん、藤間紫さんの美しい佇まいや舞を堪能できました。また、長須与佳さんの唄と琵琶が素晴らしく、聞きほれました。どうやら歌舞伎の刀剣乱舞で菊之丞さんが振り付けを、長須さんが琵琶を担当されていて、その時も演舞場中に響き渡る見事な琵琶の音だったとのことで。この方の琵琶はまた聞いてみたく思いました。

休憩が15分で終了が9時と、総合3時間の贅沢な舞台でした^^。