(しばらく過去の日記を更新します。)実は3月5日に、観光のために京都に赴いたのですが、この日はまだ寒い上に大雨が降っておりましたので、ちょっと考えた末、観光は途中であきらめて、南座の花形歌舞伎を3階席で観ることにいたしました^^;。

 

今大人気の壱太郎さん、隼人さん、右近さん三人がコラボしつつほぼ一緒に座長の役割をこなし、プロデュースしておられるようで、今の若い世代の方が担う歌舞伎として、とても楽しめました^^。はじめに三人のうちの一人が口上で客席から登場してきて、写真をあえて撮らせて、その後スマホの電源を切るように指示している演出も、ちょっと面白かったです(あと、入り口で上記のお写真のコースターをいただきました^^。)

河庄は鴈治郎さんや仁左衛門さんが出演されておられたのを何度か観たことがあって、やっぱりこの軽やかさは、関西の歌舞伎役者さんじゃないとこなせない厳しい演目じゃないかと思っていたのですが、とても新鮮でよかったです。特に右近さんはこうした茶目っ気を感じる演目の盛り上げ方がパワフルで上手いですね^^。

将門もふたりの光國が観られたのですが、華のある隼人さんとダイナミックな動きを見せる右近さん、どちらもよかったです^^。

 


 

↑席は昼の部が2等の三階席、夜の部が3等の三階席(後ろから2列目)でしたが、思っていたよりもよく見えました^^。

そして、今回一番凄いと思ったのは、隼人さんの女殺油地獄の与兵衛役です。(油地獄は仁左衛門さんの当たり役の一つでもありますね。)調子がよいのにプライドが高く、お金にだらしがなく、若い男の愚かさを体現したような、でも基本気が弱い主人公が、最終段階での、お吉とのやりとりで心変わりをする瞬間、普通の日常次元から、冷たい魔の空間にガラっと変わる、そうした心象風景が表に出る瞬間が、この作品では特にゾッとする部分なのですが、仁左衛門さんはこの空間を大きく動かす力がとんでもなく強い方だと思うのです。

これは大変に難しい役だろうなァ、と思っていたのですが、何か、仁左衛門さんがこれまで培った技術や修練を華やかに演出して、与兵衛の若者らしさを表現しているのに比べると、隼人さんはホンモノの若者なので、仁左衛門さんの表現を謙虚にリスペクトしつつ受け継いで(喋り方や立ち居振る舞いが仁左衛門さんソックリでした。相当、研究されておられるかと)、でもそれを素直に「自然体に」演じているのが好感度高かったし、素晴らしかった。期待を裏切らないなあ、と思いました。自分の中では先日観て感動したヤマトタケルさえも更新したかも。10年後、20年後の熟練後の姿を拝見するのが楽しみです^^。

それと、一番力量を感じたのはやはり壱太郎さんです。たぶん、10年以上前から愛之助さんとコラボして永楽館歌舞伎やシスティーナ歌舞伎を責任をもってほぼ毎年こなし、その他にも様々な経験を重ねて得られた貫禄みたいなものがまだ若いこの方にはあって、既に役者として出来上がっていると思うのだけど、もっと進化してゆかれるのでしょう。半端ない伸び代が、この方に際してもあって、先を楽しみにしております^^。