通称で寺子屋と言われている菅原伝授手習鑑、京鹿子版とはちょっと切り口が違っている傾城道成寺、元禄忠臣蔵の御浜御殿綱豊卿。寺子屋は式部源蔵役を愛之助さんが初役で演じるということで楽しみにしていたのですが、配役のバランスが抜群かも。松王丸が菊之助さん、その妻の千代が梅枝さん、源蔵が愛之助さん、妻役が新悟さん。双方の妻役(女形)が一回り若い、実力派の俳優さんで、若く見える愛之助さん、菊之助さんとすごく合っていて。

 

小太郎役が丑之助くんでしたが、いい意味で(ホメてます)意識や気位がとんでもなく高く、沢山いる子どもたちの中でも際立った存在感。面白いお子さんだと思いました。また、与太郎役は鷹之助さんで、この方は10いくつの頃から後ろ盾のお父さまがいらっしゃらない状態で、苦労して立派になられたけれども、小さな頃から持っておられた愛嬌はずっとそのままお持ちな感じで、緊張感の漂う場を笑いに変え、非常に盛り上げておられました。

 

 

そういえば個人的に気になったこと。今回、とても外国人客が多かったのですが、この、恩義ある人の子を守るために我が子を犠牲にする感覚って、理解できるのかな?と、素朴な疑問を持ちました^^;

 

 

傾城道成寺は清姫と安珍のエピソードを元に舞踊化したものなので、清姫は華やかな傾城姿で現れます。実は昔、京都の歌舞練場で雀右衛門さんの襲名披露で京鹿子娘道成寺を拝見したことがあったのですが、その時よりも今のほうが安定していて、また生き生きと若々しく見えました。この方は町娘や旅館のおかみ役など、人情溢れる役柄がとても合いますが、こうした賑々しい演目も新鮮で、いいものですね。それにしても先代のお写真、迫力があって美しいですね。。!堪能いたしました^^。

 

 

それから昼の部で注目していた御浜御殿。赤穂浪士である富森助右衛門を幸四郎さん、そして綱豊卿を仁左衛門さんが演じておられるのですが、このふたりの緊迫感あふれる肚の探り合いとやりとりがこの演目の見どころで、幸四郎さんの気骨あふれる演技と仁左衛門さんの風格でぐいぐい物語が引っ張られ、今回、全般的に言えることなのですが、歌舞伎座としては本当に珍しく、ほとんど私語がなかったのでびっくり。最後の能舞台をゆっくり進む仁左衛門さんのシーンは現実離れしていて、非常に美しかったです^^。この品格ある役を今、演じられるのは仁左衛門さんか梅玉さん、その下の世代はどの方かというと、自分の中ではまだ見つからないかな、とも思いましたが、勘九郎さんはいい綱豊卿を見せてくれるかも。珍しく歌舞伎らしい、イイ演目がみられて大満足です^^。