長男の疾患に対して「手術ができない」ということがわかり、先生も辛いお顔をされていました。

小児循環器を専門にしている先生は「可能であれば手術をして助けてあげたいけれど、残念ながら現在の医学ではできることがない」と仰っていました。


手術ができなければ助からない可能性100%


検査の前にそう言われていたのですが、再度言葉にして確認することができませんでした。


「一緒にいてあげてください」そう言われて、NICUに向かいました。


心臓の弁や太い血管の問題であれば手術方法があったのですが、

生後すぐ一番の問題になった肺静脈は細い血管のあつまりであり、

赤ちゃん用の人工血管が存在せず、手術方法も確立していないそうです。

肺静脈が狭窄していて、血液循環がうまくいかず、造影CT検査の時には既に肺が広範囲でうっ血していました。

酸素を含んだきれいな血液が心臓にうまくもどりません・・・。


血圧も酸素飽和度もどんどん下がっていました。


たくさんのチューブにつながれた長男を前に、涙が止まりませんでした。


「よく戻ってきてくれたね」

「検査もよく頑張ったね」

「大丈夫、まだまだ頑張れるよね」

「生まれてきてくれてありがとう」


主人と一緒に長男の手を握りました。

オムツ1枚でNICUのベットで寝ている長男に

退院する時に着せようと思っていた産着を着せて(かけて)あげました。


親として何もしてあげられない・・・

このまま「その時」を待つしかないだなんて信じられませんでした。


看護師さんのご配慮で、チューブにつながれたまま抱っこさせていただきました。


だっこさせてもらった長男はずっしり重みがあって、ただすやすやと眠っているだけにしか思えませんでした。

チューブさえはずせば見た目は普通の赤ちゃんなのに、

何かの間違いであってほしい・・・


モニターをみると、

心拍数は120あったものの、

酸素飽和度は30前後、

血圧も低くて、

素人の私でも危ない状況だということはわかりました。


それでも信じられなくて、信じたくなくて・・・

主人と一緒に交代でだっこしながら長男にたくさんたくさん話しかけていました。


しばらくすると、義両親が長女を連れて面会にきてくれました。

義妹ちゃん夫妻もかけつけてくれました。


(本当はNICUの面会時間外だったのですが、スタッフの方の配慮で深夜に入室させていただきました。

今思えば、本当にいつ「その時」がきてもおかしくない状況だったのでここまでたくさんの配慮をしていただいたのだと思います)


長女と義両親、義妹ちゃん夫妻にとってはこれが長男との初めての対面でした。

長女は状況を理解できていないので、弟に会えたこと、生まれたとにただただ喜んではしゃいでいました。


「お姉ちゃんになったね、おめでとう」と言うと、

弟の手を握って、

足を触って、

頭をなでなでして、

おでこにキスしてくれました。


看護師さんのご配慮で、みんなで順番に抱っこさせてもらいました。


抱っこのリレーが始まりました。


私、主人、義母、義父、長女、義妹ちゃん、義弟くん・・・


不思議なことに抱っこのリレーを始めてから酸素飽和度と血圧が上がりました。

心拍も安定して、このまま正常値に戻るのではないかと思うほどでした。


みんなに抱っこしてもらって、長男も嬉しかったのだと思います。

特にお姉ちゃんとおじいちゃんに抱っこしてもらうと数値が良くなりました。

言葉にはだせなくても長男なりにメッセージを送ってくれたのかもしれません。


もしも本当に「あと3時間」だったら、もう「その時」がくる頃だったのですが、

抱っこリレーが始まって安定してきた長男。


日付が変わる頃にみんなが帰宅した後も、私はずっとそばにいました。


朝になれば状態が良くなって手術できるようになっているかもしれない、

酸素飽和度も血圧も低いけれど心拍は安定しているのだから、きっと大丈夫。

きっと何かできることが見つかるはず。


そう信じて、

願って・・・

私は絶対にあきらめないと決めました。


本当は朝まで一緒にいたかったのですが、

私も出産当日であり、看護師さんから少し休んだ方が良いと言われ、

AM2時すぎにベットに戻りました。


きっと明日も明後日もNICUに通うのだから、安定しているうちに少し休もう・・・

そう思っていました。