1杯の紅茶がスイーツを美味しくも不味くもしてしまうペアリングの世界。その匠の技はとても奥深く、素晴らしいペアリングになった時にはまるで魔法がかかったかのように、一緒に食べるものを何倍も美味しくしてくれる。馬車道にある水信フルーツパーラーで、そんなペアリングの世界観が楽しめるティーセミナーが開催されると聞き、参加してきました。
今回素敵なペアリングを体験させていただいた『水信フルーツパーラー』は、日本が誇るインダストリアルデザイナー水戸岡鋭治氏にのデザインによるゴージャスな内装。水信は創業107年となる横浜の果物屋さんが経営するフルーツパーラーで、果物屋さんならではの厳選されたフルーツを使ったスイーツがいただけるお店です。
今回は水信さんがより果物やスイーツをより美味しく召し上がっていただきたいと、紅茶の監修を依頼されているという沖縄ティーファクトリーの内田智子さんによるティーセミナーで、12月からメニューにラインナップされる水信のためにブレンディングした新たな紅茶が先行試飲できるラッキーな場でもあったのです。
内田さんが水信のために作った紅茶は、セイロンティーとキームンをブレンド。内田さんはタンマップという舌の上の味覚を感じるエリアを細分化した考え方でブレンディングされているのですが、口の中の広い面積で味わえるセイロンティーと果物と同じ味覚の弧を描くキームンをチョイス。キームンは年毎の品質のクオリティのばらつきがあることもあるそうですが、現地から直接紅茶を仕入れている沖縄ティーファクトリーだからこそ入手できたキームンで作っているため、果物に合った唯一無二の紅茶ができたとか。
水信フルーツパーラーのためにブレンドしたこの紅茶は、紅茶らしい味わいを堪能できるだけでなく、香りの広がり方がとても素晴らしい紅茶で幸福度がとっても高い。果物と一緒に食べても美味しいし、ストレートで飲んでも、ミルクを入れても美味しいという紅茶に会場の皆さんからは歓声が上がるほどの美味しさでした♪
今回は、紅茶とのペアリングを楽しんでいただくため、フルーツショートケーキを分解し、フルーツ、スポンジ、クリームそれぞれで、紅茶のペアリングが体験できる構成になっていました。フルーツを食べて紅茶、スポンジを食べて紅茶、スポンジとクリームで紅茶なんて、会場の皆さんは口々に楽しいね～と思わず笑顔になっていました。
途中、バラのアイスクリームと炊き立てのカスタード、そしてリキュールが登場し、こちらも紅茶やスポンジに合わせていただきました。この紅茶はフルーツがよりリッチに感じられ、また糖質や脂質との相性も抜群。こういう食べ方ってあるんだと、私の周りは皆さんビックリされていました！
今回は夕方に開催されたスペシャルイベントということもあり、こんなセイボリーも出してくださいました。どうやら今回は予算度外視だったようですね。ラッキー♪
この日は全国を飛び回り美味しいフルーツを探し、フルーツ愛がたまらない水信のバイヤーの早野さんよりフルーツのお話を直接伺うこともできました。手に持っている「恋人メロン」は糖度17パーセントと非常に甘く、日本で唯一ホルモン剤を使っていない貴重なメロンで、緻密な果肉と甘さが魅力です。「ルレクチェ」は原産国のフランスですら作っていないほど生産に大変手がかかるとか。そっかだから高いんだねと納得！！また「みがき苺」は被災を受けた宮城県で最新技術を使い作った香り高い苺なんだとか。果物の世界は進化し続けているのですね。
今回新たな紅茶の開発の中心となったのはこちらの長谷川店長です。内田さんに出会って紅茶の魅力にはまったおひとりです。「紅茶は食材の写し鏡なの」という内田氏からの言葉に目覚め、カフェのサービスや運営はもとより、ペアリングの楽しさをお客様に提供したいと日々奮闘されていて、今回初のイベントは長谷川店長の発案だとか。後ろにはシェフパティシィエの彦坂さんがいらっしゃいますが、日々水信のフルーツを活かしたスイーツを心を込めて作っていらっしゃいます。
沖縄ティーファクトリー代表でありブレンダーの内田智子さんは、スラリンカで紅茶を学び、2000年より沖縄で紅茶作りを開始。琉球紅茶の普及だけでなく、テイスティング技術で選別した世界各地のお茶を独自にブレンドしたオリジナル製品を手がけ、また多くの企業の商品開発などもされています。オリジナル紅茶の「月夜のかほり」は、今年ベルギーでの国際味覚賞2つ星を受賞されています。この日も内田さんのファンがいっぱいでした。
水信フルーツパーラーのためにブレンドした新しい紅茶は12月初旬より提供開始だとか。水信の美味しいフルーツとそれに沿った紅茶を是非体験してみてくださいね。
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