女の人は 老人の手をみました。
     何度も 何度も つないだ手 
     他に 何もいらないくらいに 大きかった 手
    「ねえ 父さん 」女の人はいいました。「手をつなご」
       (手をつなご  あいはらひろゆき・作 植田 真・絵)



このお話は女の子と父親が主人公の短いお話です。


お父さんは車いすの生活でした、だから他の親子のようにかけっこしたり、出来なかったのです、他の親子がうらやましかった女の子、そしてその事を知っていた父親。
お父さんが「手をつなご」というと。女の子は 「いやいや」 と言ってしまうのです‥。それから長い時間が経ちました。
女の子は、大人になった時に「ねえ 父さん 手をつなご」と言えたのです。
大人になるというのは、親を越えるということですね。
親に甘えているうちは まだまだ子どもです。
いろんなことを女の子は父親から教えてもらったのです。
そして時間も女の子を素敵に成長させてくれました。


親子を描いた絵本は多いですが、この絵本は短い話しの中に親子の長い長い時間が経過していく、父と娘の人生の機微を表現した、今迄にない深い絵本だと思いました。



親子の関係、子どもにとっては生まれて初めての人間関係です。そして家庭は子ども
にとっては小さな社会、それから、学校での友達関係、会社での人間関係とだんだんと広がっていきます。その人間関係の一番基礎になるのが親子関係だと思います。
だから人間が成長していく過程の一番大事な部分。
家庭から学ぶことは大きいです。



この絵本のお父さんは立派なお父さんですね。
女の子の気持ちを誰よりもよくわかっていらっしゃる‥…だから随分辛い思いだったでしょう。お父さんの生き様を見て、この女の子は成長したのだと思います。


大人になってみて初めてわかる、大切な人の思い、そして親になってみて初めてわかる
子育ての大変さと喜び。親子は共に成長していくのですね。


「悪かったね」
老人が 小さな声でいいました。
「ずいぶん泣いたよね 私。」
女の人は おだやかに 答えました。