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ある日ばあちゃんちの物置を漁っていたら、昔置いてった野球ボールとグローブが出てきた。

急いで縁側に廻り、「キャッチボールでもする?」と暇を持て余しているミカを誘う。

「私一度もやったことない。」

「え?お前キャッチボールやったこと無いの?」

 

「無いよ。」

「教えてやるよ、行こ!」

ミカを連れ出して河原へ行った。

小さい頃から、よく遊びにきた公園。

 

狙ってた広場では

先客の男子グループがスケボーで遊んでいた。


だから俺らは、スケボー軍団から少し離れた場所でキャッチボールを始めた。

 

初めてだというミカに、俺が優しく投げてやったボールは、グローブをすり抜けてストンとつま先に当たり、ころころとスケボー軍団のほうに行ってしまった。


「和にぃ、取ってきて!」駄々っ子のように向こうを指さす。


俺はしぶしぶスケボー軍団に頭を下げる。






「じゃぁ投げてみ!」


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キャッチすんのが苦手ならと、投げさせてみる。

 

大きく振りかぶったボールは、するりと指から抜けて勢いよく後ろ側に飛んでいった。


「あれ〜?」
手から消えたボールをくるくる見渡して探している。

「あっはは、センスねーなー」と俺はからかったんだけど、
それを見ていたスケボー軍団もミカを笑い出した。
ミカは口を尖らせて目に涙溜めて。いまにも泣き出しそうな顔をしている。

俺に対しては減らず口なのに。
打たれ弱いっつーか…。

ミカを笑ったスケボー軍団を俺は少しだけ睨みつけて、後ろに飛んでったボールを拾った。

「やっぱ帰ろっか?」

「…うん。かえる。」

 

キャッチボールはものの数分で終わった。


「今度特訓してやる。」
 
肩をポンと叩くと
ほっぺたを膨らませたまま「うん。」と頷いた。













夜になってもミカは元気がないままだった。

「もしかして気にしてんの?さっきの事…」

膝を突き合わせて、俺はそんな風に聞いてみたけど「違うよ!」とキレられた。

「じゃあ何…。」
「和にぃは寂しくないの?…明日でばあちゃんち最後なのに。」


それで膨れてたのか。女ってわかんねぇ…。

「…だって…、また逢えんだろ?」




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ばあちゃんち最終日はめちゃくちゃ暑かった。



毎年恒例のばあちゃんの指示により
自分たちの使った布団を干して、シーツとタオルケットを洗濯して帰る。

何年やってもミカは洗濯が下手くそだった。



「ちゃんとシワ伸ばしてから干せよな、」
「うるさいなー口ばっか動かしてないで手も動かしてよね。」
「うごかしてるわ。」






「仲良くしなさい。2人だけのいとこなんだから。」
「はぁい」「はぁい」




…って、朝はいつもの調子だったけど
帰り時間が近づくにつれて無口になって。

昼過ぎ、

それぞれ親の迎えが来て、じゃーな、と小さく手を上げて車に乗る。
ミカは最後まで口を尖らせていた。







次に会うのは正月だ。




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つづく。










この辺までが第1章かな。
徐々に動き出します(°∀°)b