タイと関わってから約30年。タイは私の第二の故郷ともいえるほど。
タイで仕事もしたし、今ではタイ人フラワーアーティスト、サクン・インタクン(Sakul Intakul)と一緒にタイのお花文化を日本に広めるサポートもしています。
この30年間で数えきれないほどタイを訪れましたが、今回はタイを再発見する旅でもありました。
2019年2月7日から12日まで、タイ国政府観光庁からお招き頂き、「2019 Japan Mega FAM コーンケーン、カラシン、バンコク」研修・取材旅行に参加しました。
タイの東北地方であるイサーンを訪れるのは、大学時代にウボンラチャタニを旅行して以来。
facebookでコーンケーンに行くということを知ったタイの友人たちからは、立て続けに「コーンケーン」という、「こりゃまたディープなところに行くね
」とう反応だらけ。
そう、ディープなんです、コーンケーンは
最近バンコクに行っても、あまりにも都会化され過ぎてしまい、段々と昔知っていた「タイらしさ」がなくなってきたのが残念で、もっぱら滞在するのはDusit地区(旧市街)、なるべく中心部の喧騒を避けておりますが、コーンケーンやカラシンはまだまだ古き良きタイの原風景がまだまだ残っているのではと、期待を抱かせるものでありました。
今回の研修旅行で、私の琴線に触れたタイの再発見ポイントを3つ紹介します
再発見その①:やっぱりローカルフードは美味しい
ベタで申し訳ないのですが、タイの魅力は何といっても食の豊かさ。
私は毎日タイ料理でも大丈夫なくらいタイ料理好きですが、特に今回イサーン(東北)料理が本当に美味しく、毎食お腹がはち切れんばかりに食べてました。
タイレストランに行ったら必ず食べるラープ。これは今回どのレストランでも必ず出てきました。
もうこれは食べ飽きることがない!毎日でも食べられる美味しさ!
特に「ドゥアン・ピッサワ・レストラン(Duan Phitsawa Restaurant)」は女子が好みそうな可愛らしいインテリアで雰囲気抜群、料理も皆無言になるおいしさでした。
バナナの花を使った和え物。
本当に毎日食べても飽きない!
コーンケーンは食べ歩きの旅にピッタリですね
再発見その②:やっぱりタイ人女性が頼もしい:タイの伝統を守るビジネスの着眼点
タイに住んでみるとよく分かりますが、とにかく女性がよく働きます。
私がタイで仕事をしていた時も、管理職の過半数は女性でした。
今回の研修で出会った、タイ人女性経営者二人のビジネスを取り上げたいと思います。
二人の共通点は「タイの伝統・文化」目的にビジネスを立ち上げていること。
観光化=近代化ではなく、タイらしさ、タイの伝統文化を守っていきたいという彼女たちの気持ちがよく伝わってきました。
まずミーキン・オーガニックファーム(Mekin Organic Farm)。
ここではオーガニックの農作物を作っており、畑で取れたパパイヤを使ったソムタム作り体験や農村ステイなどができます。
エントランスはこんなにオシャレ
私たちに農場のコンセプトを流暢な英語で話し始めた経営者のプーさん。生き生きとした表情で話し始めたプーさんに「ん?彼女何者だ?」と興味が湧きました。
ソムタム作りの最中に、「ミーキンファームを始める前は何をしていたの?」と聞いてみましたら、タイの名門・タマサート大学を卒業後、大学総長付きでリサーチの仕事をし、ロンドンに留学。
その後生まれ故郷であるコーンケーンに戻ってきて、「アグリ・ツーリズム」をしようと決意し、3年前に土地を買って家族で経営を始めたのだとか。
コーンケーンの素晴らしさを農業という形を通して皆に広めたいのだそうです。
見て下さい、お父さんもこの素敵な笑顔
小さい頃から農業の手伝いをさせられ、皆がサッカーをして遊んでいても一緒に遊べず、大人になってからは建設のお仕事をされていたとのこと。まさかイヤイヤやっていた農業をこんな年になってまたやることになるとは、、、と言ってましたが、楽しそうでした。
最初は娘さんに「アグリ・ツーリズム」というビジネスのコンセプトを聞いても、全く分からなかったけど、最近なるほどこういうことかと腑に落ちるようになったのだとか。
そしてバンコクで、タイの伝統文化に焦点を当てた、体験型のユニークなツアーを企画している旅行会社・HiveStersの経営者:Achiさん。
元々家族が旅行会社を経営していたというAchiさん。タイの伝統文化が消え去らないよう、他の旅行会社ではできないようなニッチな体験型ツアーを提供しています。
ナーンルーン・コミュニティ(Nang Loeng Community)という伝統文化を色濃く残した集落には、昔からの生活がまだそのまま色濃く残っています。数えきれないほどタイを訪れている私も、ここは全く知らなかったくらい。
せっかく残っているこのコミュニティならではの伝統文化が、引き継ぐ子供がおらず、消え去ってしまう可能性があるため、Achiさんがサポート、体験型のツアーを企画することで伝統文化を守ろうとしています。
日本でも職人さんの後継者がおらず、素晴らしい伝統文化が段々と薄れゆく状況と同じかもしれません。
ここの集落で1892年から代々踊られている「チャトリーダンス」。母親から娘へ、、、と踊りが受け継がれているようですが、今このダンスが踊れるのはカンヤーおばさんのみ。
7歳から踊り始めて、今73歳。日々の生活のことを歌いながら踊るのが特徴だそうです。
こちらは300年の歴史がある「ペーン・プアン(Paeng Puan)」というフラワーエッセンスの飾り作り体験。
石灰を溶かし、お花から抽出したフラワーエッセンスを混ぜ、米粒ほどの小さな珠を糸に載せていき、乾いたところでまとめます。
髪に飾っても良し、昔の香水ですね素敵。こんな文化があったとは!全く知りませんでした。
再発見その③:分解と再構築
タイの伝統的なお花文化の基本といえば、「分解と再構築」。いったんバラバラに「分解」したものを、全く違う形に「再構築」することで美しさを出します。
例えばこんな感じ↓
デンファレの花びらをバラバラにし、折りたたんでロングニードルに挿していき、模様を作り花環の完成
研修最終日のランチで、「Spirit Jim Thompson」に行きましたところ、お店の方が味のコンセンプトということで全く同じことを言っていました
「味をいったん分解して、全く違うものに再構築する」って
、、、、ってことで、タイ料理がこんな風に素敵に「再構築」されてます。見た目も美しく、味も深く繊細。
食材のほとんどはナコーンラーチャシマにあるジムトンプソンファームから直送されたもの。
何回訪れても毎回違う発見があるタイ。
特にコーンケーンは、日本人が訪れるタイの観光地では28位と、まだまだ開拓の余地があるわけですが、その魅力は尽きません。
近代化したバンコクも都会の遊びができて魅力的ですが、タイの古き良き原風景が残るコーンケーンも、これまたタイを違う角度から楽しめる面白さがあります。
何回もタイを訪れて、その度に違う魅力を楽しみましょう!