ムスメが帰宅後、熱っぽい口調で語り始めた。
「あのね、今日ね、スゴくかわいいのがいたの。
私だけじゃないよ、みんなもかわいい、かわいいって夢中になってたよ。」
「何の話?」
動物が好きなムスメは、散歩中の犬やら、日向ぼっこ中のネコやらにすぐに夢中になる。
で、今日は?
「たまじゃく~!」
…は?
「たまじゃく~!おたまじゃくしちゃん~!」
だいたい、略語にするほどポピュラーな存在とは思えないし、
成長後の様子を想像すると
敬称付きで呼ぶ気分になれない。少なくとも私は。
念のため、先にムスメに伝えておく。
「まさかとは思うけど。
おたまじゃくし、持って帰ってきてないよね?
絶対に飼わないからねっ。」
「あはは~
持って帰ってなんか来てないよう。」
それを聞いて一安心する私。
と、その時。
私の背後で。
「ママがダメです、だって。
ごめんね、たまじゃくう~…」一瞬にして凍りつく私。
コヤツの
ランドセルの中に、
生き物が、
入っている!!!
「ダメダメダメ
このまま田んぼに行くから放してきて!」
「だから、今日は持って帰って来てないってば。
たまじゃくを思い出してつぶやいただけ。」
だいたい、ムスメには前科がある。
もっと小さかった時の話であるが。
家の中で探し物をしていた彼女。
「ぽっけにいれといたのに
なくなっちゃったのよう」
「全部なくなっちゃったのよう」
「せっかくおじちゃんにもらったのに」
「だんごむち~」
ムスメの言葉にはたくさんの誤りが含まれている。
1. だんごむちは、ぽっけにしまってはいけない
2.しかも複数しまってはもっといけない
3.おじちゃんはだんごむちをみだりにあげてはいけない
注意書きをよく読んで
正しいだんごむちライフを送ってもらいたいと切に願った私である。