日曜日に竹橋の東京国立近代美術館に行ってきました。
当日は企画展が無いためか、竹橋駅から美術館に歩いていくと、美術館の入り口付近には誰もいない。
あまりの閑散さに「しまった、休館日だったか!」と一瞬思ってしまいました。
受付に人がいるのを確認し、ほっとして券を買う。
今回の目的は、平成19年度第2回所蔵作品展と崩壊感覚展を見るためです。
近代美術館は、まずエレベーターで4階に行って、下に降りる構成になっています。
ここからは私の独断と趣味による展覧会感想です。
まず4階。「明治・大正期の美術 文展開設前後」。
いいものが無い。バサッと切り捨て。次。
「明治・大正期の美術 大正のヒューマニズム」。
川上涼花 「鉄路」という絵がいいです。夕日に輝く鉄道がいい。
岸田劉生 「道路と土手と塀(切通之写生)」これは見慣れていますが、何回見てもいいですね。
関根正二 「三星」これは、ぞっとしました。死後の世界からこちらを見つめられているような、おもわず鳥肌が立ってしまいましたよ。
「昭和戦前期の美術 都市のなかの芸術家」。
国吉康雄 「秋のたそがれ」 これは秋の寒々とした空気感が出ていていいです。寂寥感。
長谷川利行 「タンク街道」「新宿風景」  長谷川利行は街の情感を描き出すのがうまいですね。うらぶれたような、さびれたような街。埃にまみれ、錆び付いた建物。昔の東京。私はその時代にいないのに、何か懐かしい感じがしてしまう。
「4F 特集コーナー  モダン都市 TOKYO-昭和初期の風景の変容」
小泉癸巳男の「昭和大東京百図絵」が何点か展示されていました。これもいいですね。
先日、TVで「昭和の北斎」として紹介されていたのを見て、ぜひ見てみたいものだと思っていたので、ラッキーでした。この人の作品を見るためだけに、出かけてもいいと思います。
藤牧義夫 「赤陽」。永遠の夕日。街が夕日に焼けている。疲れきったような建物。自分も疲れ、汚れて、汗をかいている。この絵を見ると、いつもそんな思いにさせられる。

さて3階。「昭和戦前期の美術 日本画・洋画の成熟」見るものなし。バッサリ。
「戦時と「戦後」の美術」 松本竣介 「Y市の橋」 これは非常にいいです。
自分としては、明治以降の画家では松本竣介がトップにきます。
一度彼の「立てる像」の背景にある東京電力目白変電所の実物を見に行ったことがあります。建物、橋、橋に至るちょっとした坂道など、絵と同じだったので、感激しました。
版画コーナーでは、池田満寿夫の特集をやっていました。これも思わぬ収穫でした。
60年代の初期の版画はいいですね。創造力がみなぎっているというか、充実感があります。

2階のギャラリー4で「崩壊感覚」をやっていました。
特に日本画家池田遥邨のデッサンを興味深く見ました。
池田遥邨は、やはり画家だけあって、「画面」を意識したスケッチとなっています。
関東大震災後の東京の記録ではあったのでしょうが、画家としての本能が、目が、モチーフとしての建物、焼けた樹木、がれき等を見つけ出して、描いているという感じがします。

入館料420円で、結構充実した内容を楽しむことが出来ました。
東京都現代美術館で開催中の男鹿和雄展に行ってきました。
となりのトトロなどのジブリアニメの背景画を描いていた人です。
はじめ人間ギャートルズの背景もされていたとは知りませんでした。

私がジブリアニメを見ていて、「おおっ美しい」と思うシーンのほとんどを男鹿さんが描いていていたんですね。

水彩ってあんなに美しい色が出せるんだ。と感動。とくに緑色が美しいです。
私が好きなのは、空と雲です。昼間の入道雲。夕日に燃える雲。日没後の紫色の雲。
夏の日の夕暮れ、草の匂いとともに涼しい風が吹いてきて、汗が乾いていく感じ。
男鹿さんの絵には、そんな強烈な実感があります。

展覧会場の終わりの方に展示してあったスケッチの中に「目にうつる模様」というのがあって、それを見るなり、「あっこの人も自分と同じものを見たんだ!」と思いました。
これは、目の中(視界)に出る模様で、目の中をまるで光る深海魚のようにちかちかと点滅するものです。私の場合、年一回くらいの割合で出ます。出て消えるまで10分くらいです。視線の焦点のまわりに出る模様なので、見づらいのですが、結構虹色をしていてきれいなんですね。実は私もその模様を描いてみようかなーと思っていたのですが、男鹿さん、先に描いてしまいましたか。

今回の展覧会で感じたのは、「私はいままでジブリに感動していたと思っていたのが実は男鹿和雄さんに感動していたんだ!」ということです。

ぜひ、見に行ってください。きっと感動します。
そして、この夏、ひぐらしの鳴く頃、外に出て夕日を見てみましょう。
あなたはこうつぶやくはず。「まるで男鹿和雄の絵のようだ」

先日、何となく浮世絵の風景画についてWebでいろいろと画像検索していたら、
「昇亭北寿」という人が描いた風景の山々の描写が、いわゆる「面取り」のようで、おもしろいなーと思って、その人について調べたら、北斎のお弟子さんのひとりだったんですね。
そして関心は北斎に移っていきました。北斎の絵をいろいろ見ているうちに、
「北斎って、どんな人だったのだろう」と思い、北斎について描かれた本はないかと探して見つけたのが、杉浦日向子さんの「百日紅」でした。
すぐにAmazonで注文したのですが、何とその日(7月22日)は杉浦日向子さんの命日だったのですね。
全く知らないで注文していました。もしかしたら、彼女が「ほれ、買え」と言って私に命令して買わせたのかも・・・。

彼女は「江戸の道のゴミの吹きだまりはどこに出来るか」とか、まるで見てきたように解説するなど、江戸時代からやってきた人として扱った方が自然なくらいに詳しかったですね。路上観察学会のメンバーだったということも最近知りました。
彼女が発見したトマソンってどんなものだろう。。。みてみたいです。

「百日紅」のなかに、北斎と弟子の善次郎がうなぎの蒲焼きを食べるシーンがあるのですが、ものすごく蒲焼きが食べたくなりました。

百日紅 (上)/杉浦 日向子

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