岸田内閣は、2022年夏には60%内外の支持率だったものが、マイナンバーカードや統一協会問題などで下がり、2023年5月の広島サミットで一時持ち直したものの、その後の内閣改造・自民党人事が不人気、加えてパー券裏金問題でドンドン落ち込み、今や20%を割れとなっている。以下の自民党支持率も合わせると〔内閣支持+自民党支持率<50%〕だから、数字上は「青木の第一法則」(50%を割ると政権が倒れる)が成り立っている。


 



この背景で産経新聞・FNNが次期自民党総裁は誰が一番相応しいかについて3月16-17日に合同世論調査をした結果は次の通りだった。

・石破茂元幹事長:20.1%
・小泉進次郎元環境相:15.1%
・上川陽子外相:8.4%
・高市早苗経済安保担当相:7.6%

但し、自民党支持層に限っての人気投票は以下の通り。
・小泉:19.8%
・石破:17.6%
・高市:10.6%
・上川:10.1%

河野や茂木の名前が出ていないこともさることながら、上記の名前や順位は多分にマスコミが作り上げた印象に影響されている。また、「こいつを支持しておけば俺の意に従って動いてくれる」と考え、巧妙にプロモーションする自民党の重鎮もいるだろう。「俺の意」が真に日本の安全と繁栄ならいいが、自分の政治的影響力の維持または拡大なら問題だ。自分では考えることなく、マスコミが作る印象や特定個人の思惑に乗るのは付和雷同現象だ。



次期自民党総裁は誰が一番相応しいかは、「日本の安全と繁栄という究極の政治目的のために誰が一番実行力を発揮するか」を出発点として考えるべきで、ときの空気やムードに流されてはならない。影響力の大きい人やマスコミに皆がなびいてしまっては民主主義や自由主義は成り立たない。

私はハッキリ言って岸田を支持している訳ではない。しかし、客観的に見て、100点満点ではないとしても、やるべきことのいくつかはそれなりに成果を出しているのである。例えば、以下の事例は安倍内閣も菅内閣もなし得なかった成果だ。

▪防衛三文書策定(防衛予算倍増を含む)。
▪反撃能力保有の容認。
▪福島原発処理水放出の断行。
▪原発への積極的関与。
▪日韓関係の改善(尹政権の貢献があったし、韓国のホワイト国再指定という疑問符のつく措置もあるが)。

その反面、LGBT法を拙速に成立させて保守層の支持を失ったり、いまいち焦点のハッキリしない新しい資本主義など、プラスの成果になっていないものもある。

統一協会問題やパー券裏金問題は岸田政権のときに露呈したのではあるが、岸田一人の問題ではなく、長い間に出来た自民党の垢と言うべきもの。誰が政権に就いていたとしても(例えば石破が現総裁だったとしても)露呈した筈。また、マイナンバーカードの問題は総裁が原因ではなく、各自治体と富士通Japanの問題だ(無論、岸田は時の総理・総裁としての道義的責任を云々されるのではあるが)。

これらのことを考え合わせると、次期総裁として名前のあがっている人を見ると、中には「これなら岸田の方が断然いい、もしくはマシだ」と思う人も入っている。また、「岸田よりいい」あるいは「どちらがいいかよく分からない」と思う人もいる。

いずれにしても、各自よく考えるべきで付和雷同してはならない。「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」とも言う。