♡
見なくても分かるよ
翔さんが俺を見てる
最初は柔らかかったのに、それが戸惑いに変化した
何で?
そんな思いで翔さんを見ると、サッと視線を逸らせてしまう
何だか居たたまれなくなって…
思い切って晩酌装って翔さんに近付くと、視線を泳がせワタワタと俺から遠ざかろうとする
俺はそっと追い掛けて、無理矢理ビール瓶を傾けた
翔さんは暫く固まってたけど、やがて諦めたかの様にグラスを差し出して来た
そしてビールを注ぎ終わると
「松本は…相変わらずイイオトコだな
彼女くらい居るんだろ?」
…これは様子見だと信じたい
だけどそれは俺にとったら辛い言葉で
ようやく絞り出して
「そんなの居ないしい、作る気にもなりません
俺が愛する人は唯一人だけですから」
そう言って泣きそうになるのを堪えながら、その場を離れた
ビール瓶を置いて、トイレに駆け込んで
辛くて辛くて涙が溢れた
あの時と同じだ…
こんなに近くに居るのに、心は何て遠いのか
翔さん
俺たちは本当にもう…
ダメ…なんですか…?
答えは分かっていても、心に中とは言え同じ問い掛けを何度もしてしまう自分が情けなくなる