掌から直に伝わる肌の熱さ。
 

 

滑らかな肌をくるくると円を描くように撫で、腹から上へと目指して進む。
 

 

「・・・熱い、な」
 

 

裾を捲って露わになった薄い腹に唇をつけ、独り言ちる。
 

 

時折くすぐったそうに雅紀は身を捩る。
 

 

心臓の部分にあたる所に手を這わせる。
 

 

トクトクと早く力強い動きが掌に伝わってくる。
 

 

「しょーちゃんの手・・・あっついね」
 

 

ほんのり上気した顔の雅紀が、胸にある俺の手の上に自分の手を重ねて呟いた。
 

 

「ん・・・・・・」
 

 

生きている。
 

 

俺も。雅紀も。
 

 

たったこれだけでもこんなにも伝わる。
 

 

「しょーちゃん・・・」
 

「ん・・・・・・」
 

 

少し泣きそうになるのを短い返事で誤魔化す。
 

 

下から雅紀の手が動き、俺の着ているものを胸のあたりまでたくし上げると掌が左胸に当てられ、雅紀自身がその位置まで下がって来ると耳をピタリとくっつけられた。
 

俺がしたのと同じように鼓動を感じている。
 

 

「・・・しっかり動いてるね。しょーちゃんの心臓。『生きてるよ』ってこんなに力強く言ってる」
 

「うん」
 

「ありがとう。元気に動いてくれて。本当にありがとう。ここにいてくれて」
 

 

優しくそこに口づけられ、触れるだけの柔らかい唇の感触。
 

 

心からの感謝のキス。
 

 

そして、
 

 

互いが求めているこの先への始まりの合図。