ベッドの上で胡坐をかく俺を跨がせるようにして雅紀を座らせる。

 


「言って。雅紀。雅紀の我儘聞きたい」
 

「でも・・・」
 

 

泣くなら俺が傍にいる時にしてなんて自分勝手な願いを聞いてもらったんだから、今度は雅紀の番。
 

 

それに・・・。
 

 

「雅紀のして欲しいことを叶えることで、俺がここにいるって、俺が生きてるって感じたいんだよ」
 

 

この気持ちも本当。
 

 

「しょ・・・」
 

「だから、言って」
 

 

雅紀の手を下から取って、向かい合って座る俺たちの間で指先を軽く握る。
 

 

「じゃ、じゃあ・・・、ギュってして」
 

「うん」
 

 

背中に腕を回して抱きしめる。雅紀からも腕が回され、肩に頭を乗せてきた。
 

 

「・・・あったかい・・・ね」
 

「うん。温かいな。・・・それで?」
 

「それで・・・次は・・・、キス、したい」
 

「うん」
 

 

手始めに、近くにある頬にリップ音がする軽いのをひとつ。
 

肩を動かすことで頭を上げさせる合図をして、唇を重ねる。
 

軽いものからだんだん深いものへ。
 

唇に触れるだけのキスをして、挟み込んで、食んで、僅かな隙間から舌を潜り込ませて。
 

時折、後ろから肩に回された雅紀の手に力が籠り、艶を纏う声が漏れる。
 

舌を退けば行かせないと言わんばかりに追いかけて来て、また深く絡み合う。
 

何度か薄目で雅紀の様子を確認すると、気持ち良さそうに目を閉じていた。
 

そして俺もまた目を閉じてこの甘い行為に没入する。
 

何度目かで視線に気づいたのか雅紀もゆっくりと目を開け、俺と目が合うと驚いたように大きく見開いた。
 

慌てて離れようとする頭を後ろから押さえ、逃がさないようにしてそのままキスを続ける。
 

顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俯こうとしたり、目を逸らしたりして必死に抵抗している姿が可愛くて、唇を重ね合わせたままだと言うのに思わず笑みが零れた。
 

俺がしつこく追いかけ回すから逃げ切れないと観念したのか、困ったように眉根を寄せたかと思うとちらりと俺を見て微笑むと身を任せるように目を閉じたので、つられるように目を閉じた。
 

自然と雅紀の手が背中にしがみつき、俺の手は雅紀の腰を抱いていた。
 

どちらからともなく絡み合わせた舌が離れたことを機に、自然と唇を離し瞑っていた目を開き、引き寄せられるように額と額を合わせ呼吸を整える。
 

 

「・・・次は?」
 

「次・・・は・・・、」
 

「うん」
 

「えっと・・・」
 

 

キョロ、キョロ、と恥ずかしそうに視線を泳がせた後、エイッと首元にしがみついたかと思うと耳元でとんでもなく可愛い我儘を囁いた。
 

 

「もっと、しょーちゃんを、感じたい」
 

 

雅紀の吐く熱い息がかかり、反射的に腰を抱く力が一層強くなる。
 

 

「うん。俺も雅紀を感じたい」
 

 

言いながらするりと着衣の裾から手を滑り込ませ、雅紀の身をベッドに横たわらせた。