「しょーちゃん・・・」
雅紀の手が確かめるように顔面を動き回る。
おでこ、頬、鼻、唇。
それはもう無遠慮にそこら中をぺたぺたと。
耳、首。
雅紀の手が胸に下りてくる。
「しょーちゃんの心臓・・・」
そこに耳を寄せる。
「ドクドク言ってる。凄いね。力強さが。それに、服越しでもしょーちゃんの熱さが伝わってくる・・・」
見下ろした先にあるのは雅紀のつむじで顔は見えなくても、楽しそうにしているのが言葉の端々から伝わる。
俺は背中にある雅紀の掌と、胸に当たる頬の熱を感じて鼻の奥がツンとした。
「本物のしょーちゃんだ・・・」
抱きついて頬ずりしてくる嬉しそうな雅紀の肩をギュッと抱きしめた。
「雅紀・・・。会いたかった」
「・・・うん。オレも、オレもずっと会いたかっ・・・」
あ。
泣く。
そう思った時、雅紀が俺の胸を押して勢いよく離れた。
「あっ!ご、ごめんね、しょーちゃん。オレまた・・・」
その目からは大粒の涙がボロボロ零れていて、慌てて自分で拭おうとする手首を掴んで制止した。
「しょーちゃん?」
「いいよ。いくら泣いてもいい。俺はここにいるから」
あの時俺は泣かないでって言った。
傍にいられないから嫌だって。泣かれたら辛いんだって。
だけど今は違う。
こうやって雅紀が流す涙を受け止めることが出来るから、我慢しなくていい。
雅紀の素直な感情を受け止められることがとても幸せで、それを出来るのが俺だってことが今は何よりも嬉しいんだよ。
笑って、頬を伝う涙を舐め取り、目元に溜まる涙の粒を吸い取った。
「うう・・・っ、しょーちゃーん!」
更に涙は止まらなくなって、この後しばらくの間、俺の唇と舌は大忙しになった。