オレ達は一つのテーブルでゆっくりごはんを食べているけど、他のテーブルではスタッフの人たちが忙しい合間を縫うようにサッと食べてはまた仕事に戻って行く。
「えー、皆さんおはようございます。田ノ浦です。食事中の方は食事しながら、仕事中の方は仕事をしながらで結構ですので聞いて下さい」
田ノ浦さんの声がして、食べていたのをやめる人や、仕事の手を止める人もいたけど、軽く頭を下げると、また食べ始めたり、仕事を再開したりした。
オレたちも一瞬手を止めたけどすぐにまた食べ始めた。
カズだけはぴくりともしなかったけど。
「まずは深夜の移動、お疲れさまでした。嵐の五人を始め、付き添ったスタッフ、全員が無事に合流出来て何よりです。
本日未明、予定通りマスコミ各社へ向け記者会見の最新プレスリリースが送信されました。現在のところ参加確認者数に変更は無く、定刻通りに会見場所に向け出航予定となっております。
本船もこの後同所に向け移動を開始しますので、各自配置に付き次第業務にあたってください。その際ですが、各責任者に最新資料を預けておりますので受け取り、最終確認を怠る事のないよう細心の注意をお願いします。以上」
「はいっ」
あんまりゆっくりもしていられそうにないなと、急いでごはんを食べ終えたら、オレとカズが先にメイクに呼ばれた。
また船内に戻り、二人で並んで座るとさっそくヘアメイクが始まり、カズを見たメイクさんが心配そうに溜め息をついた。
「うーん・・・、二宮くんだいぶ顔色鈍いねー。ちょっと色差した方がいいか」
そう言いながら自分の手の甲に何やら色々つけたり伸ばしたりしたものをカズの顔につけているのを横目で確認していると、オレのメイクをしている人からチラチラよそ見しないでと軽く注意された。
最後にワックスで毛先を散らされ、出来るだけ壁や物に寄りかかったりして崩さないように気をつけるよう言われ、二人でまた違う部屋で待つように移動させられた。
カズの方は、まだ横になりたいと言っていたのでヘアセットは髪を梳かすだけにしてもらったみたいで寝転んでも大丈夫らしい。
食事を終えてメイクの順番を待つ三人がいる部屋に着くとすぐに、ソファに仰向けになり腕で顔を覆った。
櫻井くんと大野くんが呼ばれ部屋を出ていき、オレは静かに頭側の方に座った。
潤が心配して何度か声をかけてカズも初めのうちはそれに答えていたのが、だんだん疲れて来たのか返事が少なくなり、そのうち潤も話しかけるのを止めた。