今日の発表記者会見を目前に俺たちの存在が気づかれそうになった為、急遽ホテルを出てそこからは散り散りになり、再びこの船に集結する流れになった。

 


いけ好かないスタッフと二人きりだった別の船内はマジ地獄で。

 

マリーナで二人になった時どうしても言っておきたい事があったからそれだけ伝えた後はお互い全ッ然喋んなくて、このクルーザーに先に着いてた潤と智くんに合流した時はすげぇ嬉しかった。


こっちの二人は割と早く着いたみたいで、早々に智くんが寝ちゃったとかで俺が来た時は潤だけが起きてた。


そこからしばらくは二人でカズたちの到着を待ってたけど、そのうち潤の方も眠気が来て智くんのいる部屋に戻って行った。


俺は俺でちょっと寝つけなくて、何となく出たデッキで思いも寄らぬ景色に一瞬で全身の毛と言う毛が逆立った。

 


眼前に広大な星のパノラマが展開し、上を見れば夜空を埋め尽くすほどの星々が光を放っている。

 

 

それは今よりもっと小さな頃、家族で行った旅行先で見た時の比ではなく。
 

あの時も見渡す限りのパノラマビューで星座盤片手に大興奮したけど、今俺の頭上を瞬くそれは、その頃を遥か凌駕する。『星降る夜』とは正にこの事だろう。

 


 

言葉などなくとも静かに佇んでいるだけで人を惹きつける煌めきを放つ。
 

 

 

誰もがその存在感に目を奪われる。
 

 

 

未だ波の音しか聞こえぬうちに存分にこの美しい世界を目に焼き付けて、先に眠る仲間の元へ行き自分も夢の世界へ旅立った。

 

 

 


うっすらと朝の気配を感じ目を覚ますと、眠る時には三人しかいなかった室内にカズと『相葉雅紀』がいた。
 

 

寄り添う様に眠る二人を見て安心する。智くんと潤もまだ眠っている。


みんなを起こさないようにそっと部屋を出ると、既に何人かのスタッフは起きて動き出していた。
 

 

「あ、櫻井くん。おはよう。早いね。まだ寝てても大丈夫だよ?」


「あれっ、櫻井くん今の内に寝とかないと体力保たなくなっちゃうよ?
 

「おはようございます…」
 

 

いや、もしかしたら眠らずに夜通し起きていたのかもしれない。
 

身に着けているスーツが一糸乱れぬままの人や、身なりが昨日よりも前から着の身着のままの人。


明らかにその容貌には疲弊が見られるのに誰も文句を零さず、それどころか俺の心配をしている。

 

そこにプロとしての意識と高い矜持を見た気がした。
 

 

ふと見れば、例のスタッフも既に働いているようだった。
 

 

なんだろう。上手く言えないけど、これから俺たちが始める事って、俺が思っていた以上にすごい大変な事しようとしているんじゃないか?て今更ながらに強く思った。
 

まだまだ子供みたいな五人の為にこれだけの大人たちが夜を徹して動いている。
 

俺たちは、俺たちが思っている以上に『嵐』というものすごいものを背負う覚悟が必要なのかもしれない。
 

果たして、俺たちだけで背負いきれるだろうか。
 

自分の中のデビューするという認識が想像以上に軽く考えていたことを後悔し始めていて、思わずゴクリと喉が鳴った。
 

無意識の内に着ていた洋服を腹の辺りでぎゅっと握っていた。