「嵐の相葉雅紀でっす。えっと、夢は…」

 

「ハイ、遅いー。ダメだよ相葉、それじゃ遅いよぉ」

 

「ハハハハハ、社長のモノマネ似すぎだって」

 

「ちょ、カズ、ダメ出し早いって!!」

 

「いいから、ハイ!もう一回。ほらっ!早く早くっ」

 

「あら」

 

「遅いよおおおおーっ」

 

「ギャハハハハ、やべー、腹いてぇー」

 

 

 

 

ついにこの日がやってくる。

 

 

社長とマンツーマンで練習したマスコミの人とのやりとりを、最終確認だといってカズがオレに無理矢理言わせる。

 

 

そしたら秒でダメ出ししてきて、それを見た潤が腹を抱えてベッドの上で転げまわってる。

 

 

「あーっ、笑った笑った。あ、もうこんな時間じゃん。今日は早く寝ろって言われたし、そろそろ寝る?」

 

「ほんとだね。よし寝よ寝よ。まーくん電気消しといて」

 

「えっ!ちょっと待ってよ。いい?消すよー」

 

 

潤とカズが俺を置いてさっさと寝ようとするから慌てて部屋の電気を消して自分もベッドに潜り込んだ。

 

真っ暗になった部屋の中は一気に静かになって、時計の音と時々誰かが寝返りを打つ音しか聞こえなくなった。

 

 

 

 

いよいよ。

 

 

 

 

あと数時間後に、オレは。

 

 

 

ついこの間までは、鏡張りの部屋の中でたくさんの仲間達がごった返すレッスン室にいたのに。

 

 

 

夜が明けたら、5人で記者会見をするんだ。

 

 

 

 

まだ自分がデビュー組だという実感が湧いてなくて、今でも信じられない気持ちでいっぱいだ。

 

 

 

 

キョロキョロと頭を動かして離れた場所にいるカズを呼んでみる。

 

 

「ねえ、カズ。起きてる?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

窓側に見える人影に話しかけてみても返事はなかった。

 

 

「潤は?もう寝た?」

 

「起きてるけど・・・寝る」

 

 

壁際の潤に声をかければこっちはすぐに返事があった。

 

 

「そっか。・・・おやすみ」

 

「おやすみ・・・」

 

 

ゴソ、と動いて俺に背を向けるとその後は静かに眠りについたようだった。

 

 

この中で緊張しているのは自分だけらしく、みんなはいつも通りに過ごせてすごいなと感心しながらいつの間にかオレも眠っていた。