「そう言えばさ、この写真見て思い出したけど、前にもこんな相葉くんを見たことあったね」
「え…?」
「ほら、あの、いつかのお蔵入り写真の時の」
「…ああ、そう言えばありましたね」
言われて思い出すのは、大野さんが独立する前に撮ってもらった写真。
あの頃はまさかこんな未来が待ってるなんて、一ミリも考えてなかった。
「あの時もこの世の終わりみたいな顔してたねぇ」
二宮さんはその時を思い出してクスクスと笑っている。
だってあの時は、本当にしょーちゃんに嫌われたと思ったんだもん。
しょーちゃんを好きになって、辛い恋をするだけだと思っていた。
それなのにまさかまさかでしょーちゃんに好きになってもらえて恋人になれて。
順調に仕事も増えて、嫌われてると思ってた二宮さんとは今こうして布団を並べちゃうぐらいになって、幸せすぎて怖いぐらいの時を過ごした。
こんなに幸せで僕これからどうなっちゃうの?って本気で不安に思った。
幸せすぎて怖いなんて贅沢な悩みだと思ってたけど。
やっぱりずっと続くことはないんだと身をもって知った。
幸せであればあるほど、その代償は高くつくんだな。
急に目頭が熱く感じて、慌てて布団を頭まで被った。
僕が突然そんな行動を取ったことを二宮さんがどう思ったかは分からないけど、二宮さんは話し続けた。
「相葉くんさあ…幸せは続くもんだと思ってる?」
「!!」
耳を疑うその言葉で、被っていた布団を勢いよく捲って顔を出した。
凝視する僕を見ている二宮さんは、静かな笑みを浮かべていた。