僕は何を疑ってたんだろう。
しょーちゃんは不器用なのに。
今じゃないよね、ってタイミングで大事なこと言うけど。
誰より誠実な人。
その場しのぎのテキトーな事が嫌いで、曖昧な事は言いたくなくて。
出来ない約束はしない。
忘れてた。そういう人だってこと。
僕はいかに自分が恵まれた環境にいるのか気づかされることが何度かあって、しょーちゃんと僕では置かれてる環境が違うから、しょーちゃんが覚悟を決められないのは当たり前のことなんだ。
その大事なことを僕は時々忘れてしまう。
だから何かあるとその度に不安な気持ちになってぐらぐら揺れる。
僕のことどう思ってるのかとか、誰かと比較して、とか。
それじゃいけない。
僕じゃなきゃしょーちゃんは支えられない。
その役目を誰かに譲る気はない。
しょーちゃんはしょーちゃんでちゃんと考えてくれてるから、僕もいちいち不安にならないようにしなきゃいけない。
大野さんが言ってた。
僕としょーちゃんなら乗り越えられるって。
しょーちゃんは言ってくれた。
僕とずっと一緒にいられるようにって。
ちゃんと僕の不安な想いを理解してくれて、まだ先も見えていない中、漠然としたままなのにそこまでの答えをくれた。
『いつか』がいつになるかは分からない。
それはきっとこれからの僕ら次第。
不安になったのは、あまりにも僕らの未来が見えなかったから。
だけどしょーちゃんは言葉にしてくれた。
その言葉は一筋の光となって、僕らの進むべき道を照らしてくれる。
指輪以上のものをもらえた気がして、今はそれで十分なんじゃないかと思えた。