ぴくり、と一瞬反応したしょーちゃんは、その後はジッとしていた。

 

僕は気にせず、身を起こしながら様子を窺いながらフェイスラインを唇で挟んだり、リップ音を立てながら頬や額、鼻の頭にキスをした。

 

しょーちゃんは時々くすぐったそうにしながら、だけど楽しそうに僕からのキスの嵐を受け取っていた。

 

それが、肩に手を置いて耳の裏をべろりと舐め上げた時。

 

 

「っ!

 

 

しょーちゃんは、ひゅっと息を飲んだ。

 

後ろ手にシーツをギュッと掴んだのも分かった。

 

僕はそれを見て、今度は耳たぶをパクリと咥え、甘噛んでみた。

 

 

!!

 

 

今度こそ間違いようもなく肩を竦め、大きな反応を見せた。

 

 

「………しょーちゃん、耳が弱いんだね」

 

 

吐息が耳にかかるように、敢えて耳元で囁いたら一気にそこだけが熱を持ったみたいに温度が上がった。

 

 

「しょーちゃ…」

「弱くない!かっ、痒かっただけ!!

 

 

僕の言葉を遮るように言葉を重ね、僕としょーちゃんの間を割るように伸びたしょーちゃんの手がガリガリっと乱暴気味に耳を掻いた。

 

 

「イ…ッ」

 

 

雑に掻いたからその内の一つが少し深く皮膚を抉ったらしく、薄く皮膚がめくれてしまった。

 

 

「大丈夫!?見せて」

 

 

しょーちゃんの手を無理矢理どかせて、軽く血のにじんだ耳の裏に舌を伸ばして舐め上げる。

 

 

「……っ」

 

 

この頃にはしょーちゃんは観念したのか、僕を横目で睨みながら身を竦ませていた。

 

 

 

なんとなくそうかな、とは思っていたけど、それが確信に変わった時だった。

 

 

 

わざとじゃないけどコトの最中にしょーちゃんの耳に僕の息がかかると、しょーちゃんの動きが一瞬鈍くなって、そのあとは大抵加速していた。

 

僕はいつもそれに翻弄されてゆっくり考えてる余裕なんてないから、後々になってあれ?もしかして?と思うばかりだったけど。

 

 

 

 

しょーちゃんは耳が弱い。

 

 

 

 

ううん。弱点じゃないな、キモチイイところ、だよね。

 

 

またひとつ僕の知らないしょーちゃんを知ることが出来て嬉しかった。

 

 

 

僕が耳ばっかり攻めるから睨んでくるしょーちゃんの唇にキスをして、今度はシャツのボタンに指をかけた。

 

いつの間にか二つ目まではしょーちゃんが自分でボタンを外してたから、僕は三つ目から外しにかかる。

 

 

ひとつ。

 

 

またひとつ。

 

 

2人の視線がそこに注がれる。

 

 

 

しょーちゃんが目を伏せると長い睫毛が綺麗で。

 

 

シャツ越しに伝わるしょーちゃんの熱。

 

 

ボタンホールをくぐっていく度に露わになるしょーちゃんの肌。

 

 

 

 

しょーちゃんは目を閉じた。

 

 

程よく鍛えられた胸筋ときめ細やかな肌に吸い寄せられるように、僕の手がシャツの中にもぐりこんでいく。

 

 

「ハ…」

 

 

指先がある一点を掠めた時、微かに洩れた声。

 

見つけた。もう一か所のしょーちゃんのイイトコロ。

 

僕ははだけた所に性急に唇を落としながら残りのボタンを一気に外した。

 

 

すべてのボタンが取り払われて、胸筋に続いて鍛えられた腹筋までが僕の目の前に現れた。

 

 

 

綺麗なしょーちゃん。

 

 

 

僕、しょーちゃんの体、スキ。

 

 

 

バキバキじゃないけど見て分かるぐらい割れた腹筋、スキ。

 

 

 

チュ。

 

 

 

「…」

 

 

 

ガッシリした脇から胸にかけてのこの厚み、スキ。

 

 

 

チュ。

 

 

 

「…」

 

 

 

その内ピクピク動かせるようになるんじゃないかと思うほどの胸筋、スキ。

 

 

 

チュ。

 

 

 

「…」

 

 

 

それなのに、綺麗なラインを描くデコルテ、スキ。

 

 

 

チュ。

 

 

 

「…」

 

 

 

しょーちゃんの呼吸に合わせ、それぞれが穏やかに連動する。

 

その動き一つさえ、僕には綺麗で、大切で、愛おしくて。

 

 

キスを落とす場所に丁寧に想いを込めていく。

 

 

 

好き。好き。大好き。

 

 

 

しょーちゃんの体は、僕の好きなところで溢れてる。

 

おへそからキスを始めて、肋骨や胸板、鎖骨を通って上がっていき、最後は大好きな唇に長いキスを落とす。

 

その間にもシャツの中に手を滑り込ませて胸や腕に触れながら肩から脱がせ、手首のところで留める。

 

 

「しょーちゃん、倒すよ」

 

 

片方ずつ手首を上げてシャツを脱がせ、首の後ろに腕を回してそっとベッドに横にならせる。

 

仰け反った時に無防備に晒される微かに見える喉仏にもキスをする。

 

 

しょーちゃんは大人しく僕のするがままに従ってくれる。

 

 

下着一枚になったしょーちゃんは動じる様子もなく、僕が次に何をするのか静かに待っている。

 

 

 

ギシ…。

 

 

 

しょーちゃんの顔の横に肘をつけばスプリングが軋む。

 

その音を聞いて、薄く開いた唇と気だるげな眼差しで僕を見つめるしょーちゃんは、僕の理性を手放すように妖しく誘う。

 

 

 

そんな風に僕を煽って、…後で後悔したって知らないんだから。