「・・・ん。・・・ふ。・・・ぁ。・・・ん、ん・・・」

 

 

気持ちよくて、気持ちよすぎて、自然と声が洩れる。

 

 

まだまだ物足りない。もっと欲しくなって自分から腕をまわして。

 

 

歯列を割って入って来た舌を迎え入れて、吸われて、吸って。絡めて。

 

 

しょーちゃんの手が体のどこかに触れるたびに、そこが小さな熱を帯び始める。

 

触れられるたびにぞくぞくする。

 

 

 

 

前もここでこうしてキスをしたことを思い出した。

 

あの時もキスだけで体が熱くなって、だけど、ここは外と変わらないからってそれ以上は進まなくて、次の日仕事だからって家まで送ってもらって、それで終わった。

 

 

 

 

今日は。

 

 

今は、まだ離れがたかった。

 

 

 

 

もっと続けていたい。もう少し繋がっていたい。

 

 

まだまだしょーちゃんに触れてもらいたい。触れていたい。

 

 

 

 

「んん・・・。・・・ん。・・・ぅん」

 

 

キスだけなのに、手で上半身に触れられてるだけなのに、蕩けてく。気持ちよすぎてヤバい。

 

思わずしがみつく。

 

 

 

しょーちゃんの手は魔法みたい。

 

 

 

「雅紀?

「・・・ぁ。しょー、ちゃん?

 

 

キスを解かれ、まだ余韻が残る僕を見たしょーちゃんは不思議がっている。

 

 

「なんか・・・今日の雅紀、感度凄くない?なんで?

「なんで・・・って、なんでだろ・・・。分かんな・・・」

 

 

自分でも体が火照っているのがわかるけど、どうにもならない。

 

何かあったっけ、と纏まらない思考で一所懸命思い出してみた。

 

 

「あ…」

「あ?なんか心当たりあった?

 

 

そう言えば、僕、しょーちゃんが来る前に風呂で1人で・・・。

 

思い出した途端、一気に意識が覚醒して顔から火が出そうなほど恥ずかしくなった。

 

 

やっばい。そりゃ敏感になるはずだよ。手を目一杯広げて、恐らく赤くなっているであろう顔を隠す。

 

ひゃあ、この顔は絶対しょーちゃんには見せらんないなあ。と思って指の隙間から覗き見たらガッツリ目が合ってた。

 

信じられない物を見たような表情のしょーちゃんに、ガッと手首を掴まれた。

 

 

「ヒッ。な、なにしょーちゃん」

「何それ、雅紀。その顔反則」

 

 

よく分からないけど、抱きしめられた。

 

反則と言われても困るんだけど・・・。

 

 

「雅紀っ!携帯はっ?財布と鍵はっ?

 

 

何かを思い出したかのように矢継ぎ早に質問される。

 

 

「え?ぜ、ぜんぶ持ってる、けど」

「よしっ!!じゃあすぐベルトして!ほらっ、早くっ」

 

 

しょーちゃんは自分のシートベルトを着けながらエンジンをかけて、車をバックさせ始めた。

 

 

「へ?!あ、はいっ」

 

 

せかされて急いだ僕がシートベルトを着け終えるのとほぼ同時に、車が方向転換を終えて急発進した。

 

 

「ちょ、しょーちゃん、どこ行くの?

「俺ん家っ」

 

 

 

しょーちゃんは、ここからしょーちゃん家までの所要時間の記録を更新した。