「!?」
これ以上ないってぐらい目を大きく開いたしょーちゃんがビックリした顔は、さっきまでのかっこいい人はどこ行っちゃったの?ってぐらいカワイイ。
咄嗟に指を引き抜かれちゃったから、僕の口の中はからっぽで。
しょーちゃんがいなくなっちゃった。
「・・・ちょ、まっ、ホンットなんなの?おまえ」
僕を見ながら慌てふためくしょーちゃんが本当に可愛くて、愛しいと思った。
両腕をしょーちゃんに向けて伸ばした。
「しよ。しょーちゃん。いっぱいチューして」
子供がだっこをねだるみたいな態度と言い方に、しょーちゃんの撫でた肩が更に撫でた。
「ハァ!?・・・おまえ、さっきの色気どこやったの?」
呆れるように言いながら僕の肘を掴んで引き寄せてくれる。
そしてまた息がかかる至近距離で見つめ合って笑い合う。
「え~、では、改めまして。キスをさせて頂いてもよろしゅうございますか?お坊ちゃま」
「うむ。苦しゅうない。よきに計らえ」
「うわー、ムカつくわー」
いやいや最初に振ってきたのしょーちゃんだし。僕はそれに乗っかっただけ。
ムカつくと言いつつ、眉を下げて笑うしょーちゃんを見て、ゆっくり目を閉じた。
言葉とまるで正反対な優しい手の動きを最初に感じたのは、頭。
髪を撫でられ、そこから滑るようにうなじに左手が添えられ少しだけ顔を傾けられる。
右手が前髪を梳いた流れから親指と人差し指で耳の縁を辿り、曲げた中指の関節が耳の裏をなぞって降りて、親指以外がフェイスラインに沿って止まる。
親指が頬を撫でる。
目を瞑っていてもしょーちゃんの視線を感じる。
目の前が翳って、・・・イチ、ニ、サン。
柔らかくて温かい感触が唇に落ちて来た。
触れるだけのキスをして、離れ、啄まれ、離れ。
味わうように少しずつ深くなっていくキスが気持ちよくて、酔いしれる。