「雅紀、俺たちも入ろう」

「あ、うん」

 

 

一足先に家に戻るしょーちゃんに声を掛けられ後を追った。

 

リビングに戻ったところでしょーちゃんに抱きしめられ、僕も背中に腕を回した。

 

 

「なんか、あっちゅーまだったなぁ。怒涛の如き時間が過ぎ去った感じ」

「ふふ・・・。うん、そうだね。2時間ドラマスペシャルみたいだった」

 

 

僕の肩にコテンと頬を預けて、はふぅーと吐いたしょーちゃんの息がうなじをくすぐる。

肩の重みで本当にぐったりしてるのが分かる。

 

 

僕と二宮さんの関係を説明に来たはずが、なぜかしょーちゃんと二宮さんの取っ組み合いになって、大野さんが自分の立場を理解していたことにしょーちゃんがパニック起こしてる最中なのに僕らの前で二宮さんに公開プロポーズ。

 

完全に大野二宮劇場だよね・・・。

 

 

悪態ばっかりついてたけど、二宮さん嬉しそうだったなあ。嬉しかったんだろうなあ。

 

あんな風に自分を信じてもらえて、大切にしてもらえて嬉しくないはずないかぁ。

 

 

 

たった一人の人がいればいいなんて、思っててもなかなか言えないし、ましてや実行に移すなんてそうそう出来ることじゃない。

 

 

 

「大野さんてかっこいいねえ」

 

 

すごい人だよ、ほんとに。

 

 

「まさ・・・」

「さすがしょーちゃんの尊敬する先輩だよね」

「雅紀」

 

 

あんなにかっこいい人が今まで指導してくれてたんだもん。そりゃしょーちゃんもかっこいいはずだよ。

二宮さんだって好きになっちゃうよね。

 

 

それに指輪までもらっちゃって。一体いつ仕込んでたんだろう大野さん。マジシャンみたいだな。

 

今まで指輪をリクエストされてあげたことはあってももらったことなんてないし、仕事でしか着けたこともない。

 

 

 

改まって、あんなに意味を成す指輪ってあるんだなぁ。なんか、何とも言えないけど、すごいなあ。って思った。