リビングに移動して、ソファーで2人並んで座る。

 

しょーちゃんは、両手で持ったグラスの水をコクッコクッと喉を鳴らして飲み干し、ようやく一息ついた。

 

僕は隣でその一部始終を見守った。

 

 

「それで…?

 

 

グラスをテーブルに置いて、僕の方に顔を向けて今日のことについて説明を求める。

 

 

「それでなんで今日雅紀は二宮と会ってたの?

 

 

しょーちゃんの目がまっすぐ僕を射抜く。

 

 

責めているのではなく、真実を知りたがっている目。

 

 

『嘘はいらない』って僕を見てる。

 

 

うん。

 

分かってる。

 

ちゃんと話すよ。

 

 

僕が覚悟を決めた瞬間。

 

 

テーブルの上のしょーちゃんの携帯が鳴った。

 

2人の視線が一点に注がれる。

 

 

「しょーちゃん」

「…いいよ、別に」

 

 

途切れた電話はまたすぐに鳴り響き、鳴っては止みを繰り返す。何度も繰り返されるそれに、遂に無視しきれなくなったしょーちゃんが苛立たしそうに舌打ちして手を伸ばした。

 

カバーを開き、着信相手の名前を確認したしょーちゃんの顔が一瞬険しくなった。

 

画面をタップして耳に当てる。

 

 

「…はい」

 

 

不機嫌極まりない声。

 

その間僕は気配を殺して、固唾を飲んだ。

 

 

「分かった・・・じゃあ、後で」

 

 

静かに通話を終えて、携帯を下ろすと僕の方を見た。

 

 

「…これから二宮たちが来るって」

「え…」

「全部説明するってさ」

 

 

しょーちゃんがマップでこのマンションの位置を二宮さんの携帯に送信して、それを頼りに来た2人を出迎えた。