午後5時を過ぎたころ、雅紀から動画が送られてきた。
『はい、出来た。たっちしてごらん?』
優しい声が聞こえて、大きな掌が小さな手を取り、促してやるとそろりと立ち上がる小さな足が映った。
そして画面が引きの画に変わり、雅紀に手を引かれた小さな子供の姿が画面に映る。
『ぴこっ』
!(◎_◎;)
一瞬固まる。
手を引いてやると、また一歩踏み出す。
『ぴこっ』
!!(◎_◎;)
また固まる。
『ぴっぴっ』
=(・・?)=(¨?)=(?・・)=(?. .)=
不思議そうに周りを見ている。
音の鳴る場所を探してるっぽい。
後ろを振り返った時。
『ぴこっ』
!!!(; ・`д・´)
何かに気づいたようだ。
脚を開いて股のぞきをするみたいにして足元を見た。
靴に気づいた。
しばらく固まり、そろりと足を出した。
『ぴっ』
Σ(-᷅_-᷄๑)
音の正体に気づいた。
『※◎△×&◆☆〇∴∠!#*$!!』
εε=εε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=。゚(゚´Д`゚)゚。
ギャン泣きして走り出した。
『ぴこぴこぴこぴこ、ぴっぴっぴっぴっ』
『わわっ!待って!!そっちいっちゃダメー!!』
画面からフレームアウトしていく二人。
ドップラー効果で音が遠ざかっていった。
しばらく無音が続いて、誰もいない風景のみが映る。
『ぴこ…… 、ぴこ…… 、ぴこっ……』
ふたたび、ぴこぴこと音が近づいて聞こえてくる。
((o(^∇^)o))
続いて楽しそうに歩いてくる姿がフレームイン。
『誕生日プレゼントで翔ちゃんに買ってもらったおニューの靴はいて、ご機嫌でーす。
ほら、パパまたねーって』
(((o(*゚▽゚*)o)))♡
超ご機嫌で手を振ったあと、余韻もへったくれもなく突然動画は終了した。
もう一度、初めから再生する。終われば、また最初から。何度繰り返しただろう。
何度だって見ていられる。
君に初めて贈った外歩き用のシューズをようやく使えるようになった時のこと。
忘れないよ。
この日のこと。
何度だって思い出すよ。
だって、今日は大切な記念日だからね。
誕生日、おめでとう。