ときに「隊長格」と括られる隊長と副隊長。

しかしそれでも、隊長と副隊長との間には
大きな、大きな隔たりがある。

隊長になる条件は、
替えのきかない圧倒的な「強さ」そして「カリスマ性」。
護廷十三隊の頂点に立つ「力」があるかどうか。

一方副隊長の場合、条件は全く異なる。
それは、「隊長の副官たりうるか」。
副隊長は、もちろん隊におけるナンバー2ではあるが、
護廷の場合は、それよりも隊長補佐の意味合いが近い。

これは隊長が「副隊長の任命権」を持っていることからもわかる。
瀞霊廷において「絶対的」意思決定権を持つ中央四十六室でさえ口出しできないとなれば、なおさらである。

隊長が隊を率い運営するために、
「己に必要だと認めた者」が副隊長となるのであり、
極端なことを言ってしまえば、
強さや賢さ、能力、上に立つものの器、といったものは、
「副隊長の条件」ではない。

とはいえ、歴代の副隊長はほぼ全員、
(隊長には遠く及ばずとも)他とは一線画す強さや才をもち、
隊のナンバー2として上に立つものの度量を持った者たちである。

だがそれは、ほとんどの隊長が己の副官として認める・求める者が、
そういう人物だったからである。

それぞれの隊長が、
第一に信を置ける者、
己に足りない者を補える者、
支えとなる者、
背を預けられる者、
より高みを目指しあえる者、
己の万一の際には隊を託せる者…等々
様々な理由で選んだ結果、傍目から見ても優秀な者たちが選ばれ
てきたのである。



一方、選ばれる側にも「任命拒否権」が与えられている。
自分が仕えたくないと思えば、拒否する権利が一応与えられているのだ。

副隊長はみな「己の隊長」に忠誠を誓い、身を捧げ、仕えている傾向が高い。
それ以下の隊士も自隊の隊長の部下であり、自隊の隊長に忠誠を誓ってはいる。
しかし隊長副隊長間は、それぞれ形は違えど、もっと個人的なつながりが強い。

つまり、例えば雀部は「一番隊の隊長」に仕えているというよりは、
「山本元柳斎重國」に仕えているのだ。

これらのことから自隊長が在位中に、副隊長が他隊の隊長になるという例はほぼ無いのではないかと思う。
例外は市丸くらいではないだろうか。



だからこそ、ときには「力」や「才」だけでは3席(以下席官)の方が、副隊長より上である可能性は十分ありうると思っている。

例えば
.十二番隊隊長に、(恐らく)二番隊3席であった浦原が就任した。
(当時の二番隊副隊長は大前田の父親だった)
.一心出奔後の十番隊隊長に、副隊長の乱菊でなく3席の日番谷が就任した。
.京楽は一番隊に行くときに、七緒も副官として連れていった。
.虎徹勇音は副官に、自隊の3席伊江村ではなく、十三番隊の3席清音を選んだ。(その伊江村は七番隊の副隊長となった)
.浮竹の副官は、浮竹の心の整理がつくまで、たとえ海燕より才も力もある者が何人居たとしても、空席のままだ。



隊長と比せば、副隊長は力や才だけ見れば、いくらでも替えはきくかもしれない。
だがその隊長にとっては、己のが副官は替えのきかない人物なのだ。




現在知られている中では、どの隊の隊長が変わっても副隊長は変わっていないが、
実際新しい隊長に合わなければ、隊長の交代で副隊長が変わる可能性は十分あった。
それでも変わらなかったのは、ただ残留したのではなく、
新隊長に選ばれ、新隊長を選んだ結果だと、私は思う。

隊長あっての副隊長。
でも同時に、副隊長あっての隊長でもある。



※全くの個人的解釈です