人には、防衛本能が備わっており、危険に対して、強く反応する。


だが、反応する危険って、身の危険を感じる度合いのものなんよね。


ゆえに、身の危険を感じない、程度の弱い危険には、反応しないもの。


だからこそ、危険に陥る人が多い。


程度の強い危険は、誰だってすぐ分かるから回避しようとする。


でも、程度の弱い危険って、危険と感じないから「なんとかなるさ」と思って放ったらかしにする傾向が強い。


無視する傾向が強い。


意識を向けない傾向が強い。


ただ、徐々に危険に陥り、少しずつ侵食されている事実。


なのに、その事実に、当の本人は気づかない。


気づきにくいようになっている。


そのため、本当の危険になって、初めて、慌てふためく。


「あっ、危険なんだ、ヤバいんだ」と思って、そこから懸命に動く。


あらかじめ危険を察知していれば、そう思う前に対処できているのに…


人って、激しい刺激には敏感だが、緩やかな刺激には鈍感。


これって、あるカエルの実験を考えると分かりやすい。


あるカエルを、熱湯が入った鍋に入れると、即座に熱さを感じ、慌てて鍋から飛び出る。


熱さに我慢できず、危険を感じて、鍋の外に飛び出る。


それが、自分の命を守る行動なんよね。


だが、あるカエルを、冷水が入った鍋に入れ、その鍋に火をかけ、徐々に水の温度を上げていくと、カエルは茹で上がる。


鍋の外に出ようともせず、鍋の中で茹で上がる。


そして、茹で上がることは、カエルにとって死を意味する。


人の場合、死までは至らないことが多い。


でも、本当の危険には直面をする。


そこで初めて、「あっ、ヤバイ」と思って自分を変えようとする、動こうとする。


まだ、間に合う場合は、本気で取り組むため、どうにかなる可能性は高い。


間に合いそうにない場合、多くの痛手を負う。


しかし、痛手を負えば、そこで気持ちが変わり、本気スイッチが入るため、V字回復する人は多い。


人って、危険センサーを備えてはいるが、それは、今すぐ命や身の危険を感じるものに対して働くもの。


大概の人の、危険センサーはそうなっている。


細かいところまで、センサーが行き届かなくなっている。


なんたって、今まで、どうにかなっているから。


どうにかなっている親を見て育ち、自分自身もどうにかなると信じているから。


また、組織に所属すると、どうにかなるだろう、という想いは一層強くなる。


ゆえに、緩やかに迫る危険に対して、反応が鈍感のままになってしまう。


どうにかなるだろう、大丈夫だろう、と高を括ってしまうんよね。


もちろん、どうにかなる人もたくさんいる。


勤めている会社が営業を続けている間は、どうにかなるだろう。


だが、そうやって甘く見ていると、企業がなくなった途端、どうにもならなくなる。


今まで高を括っていたツケを支払うことになる。


今は、大企業であれ、将来どうなるかは分からない。


そういう世の中。


だからこそ、なんとかなるさ、大丈夫だろう、といった思考の危険性を認識しておく必要がある、自覚しておく必要がある。


団塊世代の人達は、年功序列で、終身雇用で、なんとかなるさ、大丈夫だろうと思って、大丈夫な人生を歩んできた。


けど、今は、そんな時代ではない。


そのため、組織に所属しようと、自分自身を律する必要がある。


甘い考えは捨てる必要がある。


曖昧な思考は、命取りになる可能性があることを自覚する必要がある。


こういう時代なんやで、今は。


以前は、組織が安定し、組織の中で個が活きる時代。


今は、組織が安定とは言えず、組織とは関係なく、個を活かせる時代。


組織に所属していると安定、安心を感じることができる、という発想は、ある種危険を含んでいることを知っておいた方が良い。


ただ、何年もの間、組織に所属していると、組織に所属していると安心なんだ、安定なんだ、と思い込んでしまうから要注意。


危険と感じたくない、という想いが働き、安心、安定と思い込もうとする。


しかも、企業側にとっては、私たちの企業は安心で安定なんだ、と社員に思ってもらおうとする。


なんせ、その方が、指揮命令がしやすく、統制できるから。


企業は企業で、よからぬ考えをさせないようにするし、社員は社員で、よからぬ考えをしないようにする。


よって、時が流れれば流れるほど、私たちの会社は大丈夫、なんとかなるさ、今までどおりやっていればOK、と思うようになるんよね。


企業の文化に、染まることは、ある種、緩やかな危険に陥っているとも言えるのかもしれない。


とはいえ、組織に所属している方が利点を感じるため、個を活かそうと考えない人は多い。


組織にしがみついて、生きることを決めている人は多い。


確かに、日本では、そうやって生きていた方が、大多数と同じ生き方ができる。


世間体も整い、人並の暮らしができる。


でも、緩やかに迫る危険を感じることができる人でありなよ。


今いるところを絶対的なものとしてとらえるのではなく…


そして、日頃から、自分自身を高める意識を持ちなよ。


最悪な状況がこなくとも、自分を高めていると、今いる組織でも重宝される人材となっていくものだから。


周囲から重宝されるような人材になっていっていると、企業は、必ずといってその人を手放さない。


しかも、組織を離れることになっても、すんなり次が決まるもの。


今も組織の力は強いが、個の力も強く、自分という個を活かせるような人間になりなよ。


いつまでも、組織の力に頼るのではなく…


そういう意識があれば、時代が変わろうと、大丈夫だから。


案外、そんなものなんやで。



サコヤンの独り言

「緩やかに迫る危険は、認識しにくいことを自覚しなよ」