人は、大なり小なり臆病という性質を備えている。


なんたって、臆病というのは、防衛本能の一種だから。


臆病になることで、先に危険があることを予測し、むやみに進まないことで危険を回避する。


臆病というのは、人として立派な能力なんよね。


ただ、この能力が非常に活きていたのは、命をすぐ落とす可能性があった時代。


その時には、臆病になることで、命を守ることにつながり有益な手段。


だが、今の時代、臆病という性質は、決して必要とは言えない。


なぜなら、日本にいれば、日常生活で命を落とすことなんて滅多にないから。


普通に過ごしていて、命を落とすことはない。


なのに、多くの人は、過剰に臆病になっている。


臆病になる必要もないことでも、臆病になり敬遠する。


特に、過去、心に大きな傷を負ったことがある人ほどその傾向が強い。


心に大きな傷を負ったことが苦い経験となり、何をするにしても警戒するようになっている。


しかも、警戒の度合いが生半可なものではない。


大概の人が大丈夫と思うことでも、大丈夫と思うことができずに警戒する。


大丈夫なものでも警戒してしまうから、前に進めない状態が続く。


頭では大丈夫と分かっていても、心では大丈夫と思えないことも…


だから、警戒状態が続いてしまう。


でも、警戒状態が続いていると、何もできないまま立ち往生してしまう。


無意識の内に臆病のままの状態を正当化し、何もしないまま多くの時間を過ごしてしまう。


すごくもったいない。


心に大きな傷を負えば、臆病になるのは分かる。


けど、自分のことを臆病者として認識したままでいると、今後何もできなくなる。


何もできずに、今に留まり、多くの時間が流れてしまう。


本当に、それで良いのか。


そんな人生を送って、本当に納得できるのか。


いつまでも臆病者の自分に悔しさを感じないのか。


確かに、心に大きな傷を負うと、様々なことを怖れるようになり、臆病者になりやすい。


しかし、心に傷を負ったからといって、臆病者になることを選んだのは、結局のところ自分自身。


誰かに強制されて臆病者になったわけではない。


原因が自分にあるにもかかわらず、放ったらかしのままではいけない。


自分が原因を作ったのなら、その原因を解放できるのも自分だけ。


そもそも、臆病な状態というのは、絶対的な状態ではない。


たった一つ、実際に行動に取り組めば臆病な状態は改善される。


新たな行動や、これまでと異なる行動一つで、臆病な状態を脱する。


決して、半永久的に続くものではない。


自分の意思や覚悟でいつでも臆病な状態に終始符を打つことができる。


ゆえに、一度ちゃんと考えなよ。


このまま臆病者として、多くの行動が制限されたままの今の生活を続けるのか。


それとも、勇気を振り絞ってでも新たな行動に踏み出し、臆病な状態を脱して自由に行動を選べる生活を生きるのか。


ちょっとしたことで、臆病な状態を脱することができる。


これはまちがいない。


決して、特別なことをしなければならないことはない。


誰にだってできることで、どんな人でも臆病な状態を脱することができる。


ただ、自分の意思で自ら行動に取り組む必要があるが…


周りの人は、後押しはしてくれるが、直接的に改善することはできない。


最後の一線は、自分で超える必要がある。


自分で超えてこそ、臆病な状態から卒業することができる。


臆病者の人からすると、最後の一線を超えることは、とんでもないことのように感じるかもしれない。


だが、やる価値は大いにある。


なんたって、人生に大きな変化が生じるから。


過剰に臆病になっていて、超えることができなかった最後の一線を超えると、今までと違った景色を見ることができる。


感じることも、出会う人も、様々なものが変わっていく。


人生のターニングポイントにもなる。


最後の一線を超えることで、得るものはたくさんある。


こういったものを得るためにも、勇気を出してでも、最後の一線を超えるんやで。


超えさえすれば、人生は激変するから。


しかも、臆病という性質が強い人は、感受性が鋭く、人の気持ちを分かる場合が多い。


だから、そういう人が、自分のステージを上げると、自分が思っている以上に多くの人の役に立つことができる。


だからこそ、何が何でも、最後の一線を超えステージを上げるんやで。


それに、自分がステージを上げないということは、次のステージで出会うであろう人の喜びを奪う行為でもあるんやで。


まだ出会っていない人であろうと、その人の喜びを奪う権利は誰にもない。


そのため、今臆病であろうと、勇気を出してでも次のステージに行く必要があるんよね。


どんな人だって、次のステージでその人を待ってくれている人が大勢いるんやから。


臆病だからやらないというのは、自分のことしか考えていない。


自分以外の人のことも意識した上で、行動を選びなよ。


そうやって意識していくことで、臆病だからといって逃げるわけにはいかなくなるから。


今ある臆病という性質は、自分に与えられた試練なんやから。


その試練としっかりと向き合い乗り越えたら良い。


どんなに時間がかかっても良いから。


何も、今すぐに臆病を改善しなければいけない、ということはない。


臆病という性質は、今までの生き方に大きく影響するから、どんな過ごし方をしたかによって乗り越える時間は異なる。


でも、どんな人だって、乗り越えることができる。


少しずつ状態を整えて、乗り越えていけば良い。


そして、臆病な状態から脱し、新たなステージで生きたら良い。


その方が、自分のためになるはずだから。


案外、そんなもの。



サコヤンの独り言

「臆病な性質があるからといってやらなくて良い、ということではない、」