どんなことも複数の要素が合わさってできているもの。
たった一つの要素でできているものなんて、滅多にない。
いや、ないと言っても過言ではないだろう。
なんせ、どんなことであろうと、良い面もあれば、悪い面もあるから。
良い面だけというのはないし、悪い面だけというものもない。
いくつかの面が合わさって一つのものを形成している。
これは、人だってそうなんよね。
どんな人にも長所があれば、短所もある。
また、人は誰しもが、時と場合によって一人で複数の役割を担っているもの。
ある時は父親であったり、ある時は子供であったり、ある時は社員だったり、ある時はつまらないことを言うおっちゃんだったりと。
たくさんの面が合わさって一人の人間が形成されている。
誰だってそう。
なのに、この事実を忘れて人と接している自分がいる。
ある一面だけを見て、この人はこういう人なんだ。
と勝手に決めつけ、都合の良いイメージを作ってしまっている。
自分が見ているのなんて、その人のある一面にしか過ぎないのに。
この一面だけを見てその人の全てがわかったような気でさえいる。
これは、大きな間違い。
だって、人は、そんなに薄っぺらいものではないから。
たった一面だけを見ていて、その人のことなんて分かりやしない。
それが現実。
ただ、残念なことに、人のたくさんの面を見ることは、案外、難しい。
なんせ、人と人が接する時というのは、お互いが決められた役割の中で接することが多いから。
職場で会う人とは、お互いが社員として接するため、仕事上だけの関係になりやすい。
ゆえに、仕事以外のことは、お互いに知らないことは多いし、知らせないようにしている人も多い。
職場だけの関係と割り切ることなんてザラにある。
すると、職場だけでの一面しか見ることができなくなっちゃうんよね。
本当は、ある人がスゴイ才能を持っていたとしても、それを知る機会は少ない。
だから、仕事上でのイメージだけでその人を見てしまう。
こんなことは頻繁にある。
ただ、仕方がないといえば仕方がないが、すごくもったいないことをしているんよね。
だって、人のことを深く知ろうとしていないんやから。
人は知れば知るほど面白い。
これは、誰にだって言えることであろう。
なんせ、自分以外の人は、必ず、自分が経験していないことを経験しているから。
その経験には、必ずといって、学べるものがある、感心できることがある。
それを、割り切って関わることで、知らずに過ごしているんやから。
ひょっとしたら、毎日顔を合わせている職場のデスクの隣にいる人でも、ものすごい経験をしている場合だってありうる。
可能性はゼロではない。
心を開き、話を聞いてみると驚かされることだってある。
人なんて、見ているだけではどんな人なのか、深くは分からない。
だってそれは、一つの役割上の一つの面でしかないから。
どんな人であろうと、話を聞いてみなきゃ分からない。
だって、その人がどんな経験をしているかなんて分からないから。
よっぽど観察力や推察力に優れていなければ・・・
ゆえに、人はたくさんの面を備えていることを前提として接した方が良いのだろう。
すると、ある一面だけでは勝手に決め付けなくなるから。
ある一面を見て、他の一面を見ようとすると、それまで以上にその人のことを理解することができる。
この姿勢が大切なんよね。
なんたって、意識しなければ、できないことだから。
人は、第一印象や先入観など、様々なイメージを持って人を判断する。
そして、一度判断され、抱いたイメージは中々払拭されることはない。
一度嫌な人と思えば、その人の嫌なところばかりが目にいき、「やっぱり嫌な人なんだ」と勝手に決め付けてしまったりするから。
最初についたイメージが一つの方向性となり、その方向性に従ってその人を見るようになることは思っている以上にたくさんある。
悪い印象を与えたら、その後、良い面を見てくれる可能性は低くなってしまう。
どんなに優れた能力があったとしても・・・
そのため、人は人に良い面ばかりを見せようとする。
変に思われないためにも・・・
だた、どんな人にも良い面だけではないのに、良い面だけを見せようとするから、かえって、バランスを崩してしまうもの。
それによって、緊張したり、ストレスになったりと、自分の体調を損ねることもある。
そもそも、自分が落ち着くことができる人って、自分の良い面も悪い面も様々な面を知っている人だったりするんよね。
家族だったり、親友だったり、恋人だったり、学生時代の中間だったりと・・・
ひょっとすると、人間関係のコツとして、様々な面を見せることが挙げられるのかもしれない。
お互いが、色々な面を知ってもらうと共に知ることで、お互いの関係はよりよくなっていくのではないか。
ただし、これは、人間関係を割り切ったり、面倒くさいと思えば生じない関係性であることはまちがいないだろう。
もちろん、人間関係を割り切って生きる生き方もある。
それが合う人はそれをやったらエェ。
でも、そんな生き方をしていると、将来、自分の周りには誰もいなくなる可能性だってあることを忘れずに・・・
仕事がある内は、様々な人と出会う機会があるが、いざ、仕事をする必要がなくなった時に、どれだけの人と会うことができるだろうか。
もしかすると、人の価値というのは、会わなければいけない理由がないのに会える人が、どれだけ周りにいるかによって決まるのかもしれない。
こう考えると、人の一面だけを見て過ごすことや、自分の一面だけを見せて過ごすことなんてできなくなっちゃうね。
なんたって、これは、自分で自分の首を絞めていることになっているんやから。
しかも、長い時間をかけてゆっくりとね・・・
サコヤンの独り言
「どんなことも、一つの面だけで成り立ってはいない」