東京に住む2人のアラサー女性がいました。

2人は同じ会社の同期でした。

 

 

 

新人時代に比べ、仕事も覚えてきて任される範囲や責任も増えてきた。

 

後輩の育成に悩んだり、新しいプロジェクトの進行や時々起こるトラブルに手を焼きながら、1日が終わるとへとへとに疲れている。

 

 

そんな2人はよく仕事帰りに飲みに行き、仕事の愚痴や将来のキャリアについて話してリフレッシュし、また翌日から仕事をがんばる。

 

そんな毎日を過ごすようになります。

 

 

 

朝早くから会議に出て、昼間は仕事に熱中し、夜は飲みに行って帰る。

家と会社の往復の毎日でしたが、それなりに充実していると感じていました。

 

 

 

 

 

20代前半には、彼氏がいたこともありました。

 

友達と行った合コンで知り合い意気投合した年上の彼とは

週末にデートをしたり、夜に電話をしたり

楽しい日々を過ごしたけれど

 

いつの間にか仕事が忙しかった彼とはすれ違うようになってお別れし

それ以来もうずいぶん新しい出会いもなくなっていました。

 

 

 

今は仕事が楽しいからそれでもいいかな、と思っていたけれど

気がつけば彼女達ももう20代後半に差し掛かっていました。

 

 

 

 

アラサーって何歳からなんだろう?

25歳過ぎたらそう呼ばれるのかな?

 

年とるのってあっという間だよね、なんて女子会で笑いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女子会の帰り道、私はほろ酔いの電車内で、向かいの席に仲のよさそうなカップルが笑い合うのをボンヤリと見ていた。

 

彼女と目が合ってしまい気まずくて、慌てて目をそらす。

 

 

持っていたスマホに目を落とすと、

何となく開いたSNSに、女友達が「結婚しました♡」と投稿していた。

 

ここのところ毎週のように誰かの結婚報告。

 

 

 

 

別に自分の結婚はまだ先でも、と思っていたけど、幸せそうな写真を見るとなぜか複雑な気持ちになる。

 

ああ、また結婚か、と。

 

 

 

 

 

学生時代に仲の良かった友達なのに

おめでたい事なのに

心から喜べないなんて、なんだか自分が嫌になる。

 

 

 

そこでぼんやりと気がつく。

 

 

 

将来を考えると、子供が欲しいしやっぱり結婚もしたい。

 

でも現実は...将来を考える彼氏もいなければ出会いもない。

もしかして、このままずっと独りなんじゃないだろうか?

 

 

 

 

みんなどこで出会ってるんだろう?

 

仕事と恋愛、どうやって両立してるんだろう?

 

どうしたら彼からプロポーズされるんだろう?

 

 

 

 

 

彼女達と私の違いは何だろう?

 

 

 

 

 

 

電車が最寄り駅に着き、暗くなった夜道をひとりヒールで歩く。

 

ああ疲れたな、

何かどっと疲れたな。

 

 

こんな時、暗い道でも誰かと電話しながら帰れたらいいのに。

 

 

家に帰ったら「おかえり」って言ってくれる誰かがいたらいいのに。

今日あった色んなことをうんうんと聞いてくれる誰か。

 

 

 

そう思いながら一人で住む家に着く。

当然ながら電気のついてない真っ暗な部屋。

 

 

今日は疲れすぎてそのままベッドに倒れこむ。

 

 

気が付いたら朝。

化粧も落とさないまま寝てしまった。

 

シャワーを浴びて会社に行かなきゃ。

 

少し飲み過ぎて寝不足でだるいけど、週末は同期と少し贅沢なランチの約束をしているから、それを楽しみに今週を乗り切ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとか怒涛の平日を乗り越え、日曜日。

 

同期と待ち合わせていつもよりオシャレなレストランへ。

 

 

 

 

「報告がある」と彼女が言うから、

なんだろう?転職でもするのかな、なんて呑気に構えていたら

 

 

 

「実は少し前に彼氏ができて、婚約することになったの」

 

 

 

 

「えー!おめでとう!」と笑いながら

目の前が一瞬真っ白になる。

 

 

 

 

え、いつの間に彼氏できてたの?

出会いは?

なんでそんなにすんなり婚約?

 

 

 

私たち、同じような生活をしてると思ってたのに...

 

なんで?

 

 

 

彼女と私の何が違うんだろう...?

 

 

 

 

 

 

1年後、結婚式を挙げた彼女の花嫁姿は本当にキレイだった。

 

妊娠の報告を受けたのはその半年後だった。

社内の誰もが彼女を祝福し、彼女は産休に入っていった。

 

いつの間にか話題が減り、彼女と連絡を取り合うことは少なくなっていた。

 

 

 

 

 

 

私は今年も一人で誕生日を迎える。

もう29歳。

 

 

なんだか焦ってばかりで毎日を楽しめなくなっていた。

 

 

 

彼女と私は、どこが違ったんだろう。

 

相変わらずそんなことを考えてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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さく唇

 

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