宮川彬良 VS 新日本フィル 超!ジルベスター・コンサート 2023→2024 | NORISの絵本箱

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2023年12月31日(日)15時開演

すみだトリフォニーホール

指揮・ピアノ:宮川彬良

歌・朗読:宮川安利

合唱:栗友会合唱団

コンサートマスター:西江辰郎

構成:新井鷗子

 

2023年も聴き納めはつつがなく恒例のジルベスターコンサートに出向くことができた。

午前中の雨もあがって、この時期らしい冬の青空のもと、春以来の錦糸町に降り立つ。

当日券の列に並んで、ぶじに席を確保する。

開演を待つ間に、プログラムにのっているアキラさんのあいさつ文をじっくりと読み、

ジルベスターサポーターのリストに目を通す。

一年間いろいろ追いつかないことばかりだったけれど、それでも大晦日の午後に

こういう時間をなんとかつくることができるしあわせをかみしめた。

 

 

今年のテーマは「大晦日は思いっきり泣いて思いっきり笑おう!」ということで、プログラムにはダイナミックに心を揺さぶってくる曲ばかり並んでいて、ちゃんとその思惑通りにこの一年や来し方を思って涙ぐんだり、楽しいメロディーに胸踊らせる2時間半を過ごせた。

 

第1部 (宮川彬良 編曲*)

宮川彬良:風のオリヴァストロ

いずみたく:見上げてごらん夜の星を*

山田耕筰:からたちの花*

中山晋平:砂山*

宮川彬良:音楽劇『ハムレット』より5つの主題 Ⅰ.「ピラスの刃」

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ*

ジョプリン:ジ・エンターテイナー*

 

宮川彬良:パトロネージュ・サンバ2023(歌:宮川彬良、宮川安利)

 

第2部

宮川彬良:交響的物語「雪のひとひら」(朗読:宮川安利)

宮川泰:「宇宙戦艦ヤマト」より「新銀河誕生」(合唱:栗友会合唱団)

宮川泰:「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」より第二楽章(合唱:栗友会合唱団)

 

アンコール

宮川泰:若いってすばらしい(歌:宮川安利、栗友会合唱団)

宮川彬良:マツケンサンバII(歌:宮川安利、栗友会合唱団)

冒頭は「コンチェルタンテII」以来のお約束、緑の照明、緑のベストで「風のオリヴァストロ」で音楽の世界に引き込まれ、2曲目はわたしの大好きな「見上げてごらん夜の星を(「E.T.」&「星に願いを」MIX)」、地上からさみしく空の星をみあげる曲が、ジョン・ウィリアムズの映画音楽と融合して広大な宇宙から地球の小さな自分たちを見守るような視点の変化を起こすすごいマジック。この曲はこれまでも何度か聞いてきているが28年前(アンサンブル・ベガやクインテットよりずいぶん前! 大阪フィルのポップスコンサートのころ?)の作品ということにおどろかされた。

続いては「童謡の深読み」コーナーで、トランペットソロがうたう「からたちの花」。観察日記かと思うような単純な歌詞から後半の展開でぐっと花を見るたびに回想する切なさ全開の歌だという解説を聞いてから聴くともう…ぼーっと聞いてられなくなるのはアキラさんマジックか。北原白秋つながりで「砂山」(このアレンジも好き♫)が続き、次の三曲はいずれも言葉以前のからだの表現(踊り)のための音楽で、プロコフィエフのロミジュリのような重厚なワルツ、タイトル通り静かに悼み偲ぶ旋律、そして楽しくワクワクしてくる曲、といろんな感情のジェットコースターを体験した。ほんとうに、音の力というのはすごいのだと改めて思い知らされる。同時にこの間テレビのドキュメンタリー番組を見ながら子ら(元演劇部員&現役放送部員)が「音楽の暴力(=たいしたことない場面でも劇伴次第でごまかしたりもりあげたりできる)」と指摘して共感しあっていたことも思い出した。「すごい力」を「暴力」にせぬためには、音楽家やうみだされた作品を使う者はどうあるべきか、常に問われるのだろうな…

 

第1部のしめくくりは、恒例となった「パトロネージュの歌」のお披露目、去年からサンバスタイルになり、アキラさんの次女の宮川安利さんが登場し、アキラさんも安利さんの深い色にスパンコールきらきらのドレスとおそろいのベスト&蝶ネクタイにおめしかえ。今年もサポーターの増減はありつつも61件78口の寄附があったとのこと、ちょっと足りなかった二小節分は「ほぼほぼ事後承諾で佐渡裕さん」が一口乗ってくださったとか。今回はオルガン下に字幕表示もでて、歌声もよく響き、大いにもりあがった。

 

休憩はさんで第二部は、シャンパンゴールドのシンプルなベストにお召し替え。まずポール・ギャリコの本に感銘を受けてかきおろした「雪のひとひら」、今回は安利さんの朗読とマイム(ダンス)。ここでも「音楽に刺激されつつよりゆたかにひろがる想像力」を実感する。続いて栗友会合唱団が登場、コロナ禍で舞台はおろか練習さえままならなかった不自由な3年間を経てのひさびさのステージで、客席にいる私もうれしくなる。「宇宙戦艦ヤマト」から、(想像力が追いつかないようなお題に宮川泰が果敢にいどんだという)「新銀河誕生」、そしてすで十八番であろうテーマ曲を歌い上げた。

 

お楽しみのアンコールは、これもすでに合唱団の十八番と言っていい「若いってすばらしい」と「マツケンサンバII」で楽しく歌い踊っておひらき。踊るように指揮をする後ろ姿、体全体で楽しく歌う合唱団員は音にのせて表現するよろこびに満ちあふれていて、音楽のよさとその力がしみじみ感じられるひとときだった。

2024年も、すてきな音楽や舞台との出会いにめぐまれますように。