8月19日(金)19時開演
ミューザ川崎シンフォニーホール
<石田組>
石田泰尚(ヴァイオリン)
塩田脩(ヴァイオリン)
清水泰明(ヴァイオリン)
福留史紘(ヴァイオリン)
鈴木浩司(ヴァイオリン)
村井俊朗(ヴァイオリン)*廣岡克隆に代わって出演
中村洋乃理(ヴィオラ)
多井千洋(ヴィオラ)
小中澤基道(ヴィオラ)
西谷牧人(チェロ)
玉川克(チェロ)
大宮理人(チェロ)
米長幸一(コントラバス)
松岡あさひ(チェンバロ)*座付アレンジャー、ヴィヴァルディのみ
(今回はミューザをホームとする東京交響楽団のメンバーが多め、組長はそういうあたりにも心配りをして毎回のメンバーを選んでいるのでぜひ全国各地を追いかけて一期一会のステージを楽しんでほしい、と西谷さん)
回を重ねるごとに演奏の規模が少しずつ大きくなっていくシリーズ、第四夜はシリーズの中でもはやばやと完売した硬派弦楽アンサンブル石田組、石田組長とよりすぐりの弦楽奏者13人が全国ツアーの一環として満を持して登場。2000席のホールが3階の席までうまっていて、四方八方に記録用カメラもはいった公演だった。見た目は硬派でも、音はやさしく激しく極上で、まさに熱狂の夜となった。
<本日の曲目>
アントニオ・ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」
春 第1楽章:アレグロ
第2楽章:ラルゴ
第3楽章:アレグロ
夏 第1楽章:アレグロ・ノン・モルト - アレグロ
第2楽章:アダージョ
第3楽章:プレスト(夏の嵐)
秋 第1楽章:アレグロ(小作農のダンスと歌)
第2楽章:アダージョ・モルト(よっぱらいの居眠り)
第3楽章:アレグロ(狩り)
冬 第1楽章:アレグロ・ノン・モルト
第2楽章:ラルゴ
第3楽章:アレグロ
(休憩)
アントニオ・ヴィヴァルディ:4つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ長調 op.3-1 RV549
第1楽章:アレグロ
第2楽章:ラルゴ・エ・スピッカート
第3楽章:アレグロ
(組長トップス着替え。組長からのあいさつ〜石田組組員紹介〜MC多井さん〜MC西谷さん)
ジャン・シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ
バルトーク・ベラ(ウィルナー編):ルーマニア民俗舞曲
第1曲:棒踊り
第1曲:帯踊り
第1曲:踏み踊り
第1曲:角笛の踊り
第1曲:ルーマニア風ポルカ
第1曲:速い踊り
アラン・シルヴェストリ:バック・トゥ・ザ・フューチャー
(松岡あさひ編)
エンニオ・モリコーネ(近藤和明編):ニュー・シネマ・パラダイス
クイーン(松岡あさひ編):輝ける7つの海
オアシス(松岡あさひ編):ホワットエヴァー
レインボー(松岡あさひ編):キル・ザ・キング
<アンコール>
チャップリン(松岡あさひ編):スマイル
(全員Tシャツに衣装替え)
クイーン(松岡あさひ編):ボーン・トゥ・ラブ・ユー
水野良樹(いきものがかり)(松岡編):ありがとう
(全員新Tシャツにさらに衣装替えであと一曲)
ビゼー(松岡あさひ編):「アルルの女」よりファランドール
石田組といえば、6月の開港記念演奏会以来だけれど、今回はメンバーががらっと入れ替わって同じ人は3人しかいなかった。
まずはヴィヴァルディをたっぷり。「四季」の全曲はとても楽しみにしていたが、期待に違わずすばらしかった。冒頭のアレグロはほんとうに小鳥のさえずりを聞くようだったし、夏の嵐はキレキレ、秋は踊りだしたくなるように弾み・・・と四季折々の音色を堪能。
石田組の端正でやさしい音はヴィヴァルディにぴったりだと思った。
ヴィヴァルディが終わってチェンバロをかたづけているあいだにしばしのトーク。
組長からは組員紹介と「今日はこのあとももりだくさんでたいへんだけど、いっしょうけんめいやります」とあいさつがあり、そのあとヴィオラの多井さんのフレッシュなお話(組長讃)、そしてチェロの西谷さんからは組長の御本の販促(密林の売上ランキングで一度は頂点に立つもその後は「オカリナ入門」に負け続けてご立腹の由)など織り込んだ巧みなトークを楽しんで後半へ。
民族風味のシベリウスやバルトークもそれぞれに味わいや迫力があり、続いて映画音楽から2曲(ニュー・シネマ・パラダイスがなんともエモい)、そしてロックナンバー3曲、エレキの音色を弦楽合奏で再現してしまうのがすごい(アンベガもそうだけど、座付アレンジャーがいるグループは間違いない。そして石田さんは自分たちのためのアレンジを手掛ける人をとても大切にしていると感じる)。
アンコール、まず1曲は映画「モダンタイムス」で有名な「スマイル」、夢見心地。
次にみんなが黒地に金色で「石田組」のロゴの入ったおそろいのTシャツ姿になって、クイーンといきものがかり、「ありがとう」でしめてこれで終わりかな、と思ったら、さらに新作のTシャツ(組長御用達SOU・SOU製でロゴの字は武田双雲とか・・・)にみんな着替えて、おなじみの高速ファランドールで大いにもりあげてお開き。
カーテンコールはひな壇にみんなで並んで左右やバック、上階の席まで全方向にていねいにおじぎをして手を振ってスタンディングオベーションにこたえていた。
きのうたまたまEテレ「クラシックTV」の3人のコンサートマスターの回の再放送があり、そこでコンマスは「盛り上げ役」かつ指揮者のフォローをして楽団の気を集める役割で、小編成の古典なら指揮者なしでもプレイヤーとの信頼関係で演奏できるというお話をしていたけれど、このアンサンブルはまさに石田さんの全身で演奏する姿が指揮代わりになっていることを改めて実感した。
(そして、いつかの音楽堂での﨑谷さんの「四季」(同じく指揮者なしの立奏)も聞いておけばよかったな、とちょっと後悔・・・)
空前絶後の石田泰尚スペシャルもいよいよ真打ち、かなフィルとのグラス&マルサリスを残すばかりになってしまった。石田さんを全面的に推す神奈川芸術協会さんの企画力と力の入った布教には感謝しかない。定期演奏会には行きそびれてしまったプログラム、川瀬賢太郎さんがかなフィルに帰ってきて振ってくれるのも楽しみだけど、コンマスはどなたが引き受けるのかしら。
追記(8月20日):所属事務所(Musician's Party)より今回の演奏会円盤化予定の速報あり。
発売日、収録曲は未定。石田組として5~6年ぶりの新譜とのこと。うれしすぎる。
追記(2023年4月30日):CD+特典DVD(約30分)入手。前半メインの「四季」とオアシス&いきものがかりは入らず、順番をいろいろ入れ替えての1枚。ありがたい。
追記(2023年6月26日):4月の「石田組 春」に続いて、8月に「石田組 夏」のタイトルで、前回のCDに入らなかった楽曲もアルバムになるとのこと。ありがたすぎる。