NORISの絵本箱

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つれづれなるままに、
季節にそって、いろいろなテーマにそって、
お気に入り絵本、おすすめの絵本をつづります。
いつもの読書、お気に入りのクインテットの記録なども。

2024年11月1日(金)15時開演

関内ホール(大ホール)

 

石田泰尚(ヴァイオリン)

中島剛(ピアノ)

縁あって馬車道まつりアートフェスタの招待イベントに当選して(1000席のホールで4500通の応募があったとのこと)、ようやく秋らしくなった11月の午後、ひさびさの関内ホールにでかけてきた。馬車道の道沿いのお店が歩道にワゴンを出していろいろなものを売っているのをひやかしながら、まずは12時に当選ハガキを座席指定券に引き換えてもらう列に並び(12時ちょうどぐらいについたらすでに長蛇の列)、近くでおひるを食べてゆっくり本を読んで、ホールに戻った。

開演に先立ち、主催の馬車道商店街協同組合の代表の方があいさつに立ち、この催しへの石田さん(とピアノの中島さん)のご協力も今年で6年目と知る。

 

<プログラム>

ドヴォルザーク/4つのロマンティックな小品 op.75

クライスラー/ドヴォルザークの主題によるスラヴ幻想曲

ドヴォルザーク/ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ ト長調 op.100 B183

 

 * * *

 

モーツァルト/ ヴァイオリン・ソナタ第25番 ト長調 Kv.301

クライスラー/道化役者のセレナード

       ジプシー奇想曲

       ジプシーの女

マンシーニ/ひまわり

チック・コリア/スペイン

 

<アンコール>

クライスラー/クープランの様式による才たけた貴婦人

クライスラー/テンポ・ディ・メヌエット

ピアソラ/リベルタンゴ

 

前半のドヴォルザークゆかりの三曲はちょっとまえの石田泰尚スペシャル第二章で實川風の伴奏で聞いたもの再び。メランコリックで秋らしい曲にうっとり。後半は古典から映画・ジャズまで古今の名品アラカルトで、最後の方はクラシック曲のときと変わってひざをやわらかくつかってピアノとセッションをするようなおどるような弾き方になり、マンシーニのひまわりはしみるし、「アランフェス協奏曲のモチーフ」からはじまるチック・コリアのスペインはかっこよくてすてきだった。

 

満場の拍手ですぐにアンコール、クライスラーのほがらかでみやびな小曲ふたつのあと、あいさつが入り、最後は得意のリベルタンゴでしめた。カーテンコールは下手袖からでてきたと思ったらそのまま立ち止まりもせずに上手袖に入っていってしまい(中島さんも追いかけ)、なおも拍手していたらステージ裏をグルっと回ってもう一度下手袖から登場して客席を沸かせた。

 

まもなく念願の石田組十周年武道館公演だけれど、ちいさめのホールで間近にきけるぜいたくに如くものはなし。こんなすてきな演奏会を無料招待でひらいてくれる馬車道商店街さんにはほんとうに感謝しかない。

 

2024年10月17日 14時開演

ミューザ川崎シンフォニーホール

 

石田組

ヴァイオリン:石田泰尚 佐久間聡一 塩田脩 清水泰明 福留史紘 鈴木浩司

ヴィオラ:中村洋乃理 生野正樹 多井千洋

チェロ:江口心一 高木慶太 大宮理人

コントラバス:米長幸一

毎月恒例のミューザ詣で、少しずつ規模が大きくなっていく石田泰尚スペシャルの5回目は満を持しての石田組、結成10周年ツアーの一環。

セット券だけれど、仕事前日ということもあり、この日だけ追加のマチネの方に振り替えてもらった。

本公演ははやばやと完売だったが、こちらの追加分も完売ということで、このところの石田組人気はほんとうにすごい。

 

今日のプログラムは前半(+後半一曲目)が弦楽合奏の美しさをきわめた作品(衣装は黒シャツ・イン→休憩後アウト)、後半は映画音楽やかっこいいロック。弦楽セレナードと弦楽のためのアダージョはとにかく至高の響きだった。

切ないシンドラーのリスト、迫力の移民の歌、最後の「1世紀のスキッツォイド・マン」は先月のカルテット版に続いて、あのねばるエレキな音がすごかった。

 

バーバーのあとに、組員紹介があり、今回はミューザを本拠地とする東京交響楽団のメンバーが多めだったが、川崎市在住がかなフィルの米長さんだけというのは意外だった(組長以外で?)。

組員紹介のあとは組長の休憩(お着替え)タイムで宣伝部長生野さんのおしゃべり。追加公演のこの回のお客さんには初めてのお客さんがかなりいることがわかる。もちろん昼夜参戦組もけっこうなわりあいでいたと思われる。この先の公演案内のほか、「音楽の友」のランキングのお話(好きなヴァイオリニストはもちろん「好きな音楽家」というジャンルでベートーベンと並ぶ得票!)も出て会場をわかせた。

ポピュラーナンバーは、いつかのあさイチのときのパーマンのパターンのモノクロシャツになり、アンコール2曲目では組員のみなさんは組Tシャツ、組長は紫のTシャツ(俺、最強)に裸足姿、3曲目は組員も裸足になり、組長のTシャツは赤、とサービス満点、最後はスタオベの拍手にずいぶん長い時間こたえてくれた。

アンコールの中では「美女と野獣」が私の中では初で、組長のヴァイオリンと中村洋乃理さんのヴィオラのかけあいがすてきでとてもよかった。

 

<本日の曲目>

エドヴァルド・グリーグ    2つの悲しき旋律 op.34

                第1曲「傷ついた心」

                第2曲「春」

 

ピョートル・チャイコフスキー 弦楽セレナード ハ長調 op.48

                第1楽章 アンダンテ・ノン・トロッポ〜アレグロ・モデラート

                第2楽章 ワルツ   モデラート

                第3楽章 エレジー  ラルゲット・エレジアコ

                第4楽章 フィナーレ アンダンテ ー アレグロ・コン・スピリト

 

   *  *  *  *  *

 

サミュエル・バーバー     弦楽のためのアダージョ

 

エルマー・バーンスタイン(近藤和明 編曲)荒野の七人

 

 ジョン・ウィリアムズ(松岡あさひ 編曲)シンドラーのリスト

 

  レッド・ツェッペリン(近藤和明 編曲)移民の歌

 

  レッド・ツェッペリン(近藤和明 編曲)カシミール

 

   キング・クリムゾン(近藤和明 編曲)21世紀のスキッツォイド・マン

 

<アンコール>

    アラン・メンケン 美女と野獣のテーマ

 

        布袋寅泰 BATTlE WITHOUT HONOR OR HUMANITY 

 

        オアシス ホワットエヴァー

 

2時間以上たっぷりのマチネを終えて、2時間半ほど休んだら同じ内容でソワレがあるというのはたいへんなことだと思うので、追加公演設定には感謝しかない。

長いと思った石田泰尚スペシャルも5回まで終えて、いよいよ最後のかなフィルとのコンチェルトを残すばかりとなってしまった。来月は仕事を終えた夜の公演、ぶじに聞きに行けますように⋯

<第2クール> 10月9日(水) 第一回公演(10:30〜)

横浜みなとみらいホール 大ホール

 

指揮:清水醍輝

管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

パイプオルガン:近藤岳

司会:岩崎里衣

  

10月上旬中旬に10日間、各日2回公演で、市立小学校5年生を招待してホールでの演奏を体験してもらおうという市の教育委員会の企画。今年で27回目とのこと。

二階席までは1000人の小学生でうまり、三階席は保護者と一般客に供されると知ってはじめてでかけたのが長女が5年生になったときで、その後、次女、末っ子、とこどもが学校の引率で行く年はそれに合わせてでかけ、こどもたちが大きくなってからは期間中都合のつくときに一回聴きに行っている。

 

第1クールの先週は自分の仕事の新学期でばたばたして、今日は冷たい雨だったけれど、かえって空いてるかな、と思い行ってみた。

 

プログラムはここ二年ほど変わりなし、休憩なしの1時間で、

 

R.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」から冒頭(オルガン付)

J.シュトラウスII世/ポルカ「雷鳴と稲妻」

モーツァルト/「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」K.525から第1楽章(弦のみ)

チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割り人形」より「花のワルツ」

J.S.バッハ/フーガト短調BWV578(パイプオルガンソロ)

J.ブラームス/ハンガリー舞曲第5番

E.エルガー/行進曲「威風堂々」第1番(オルガン付)

 

アンコール:

J.シュトラウスI世/ラデツキー行進曲

 

おなかに響いてくる低音のオルガンの響きとの共演で始まる演奏会、司会の岩崎さんの親しみやすく手慣れた進行で、2曲目と3曲目のあいだに楽器紹介があり、打楽器からはティンパニ、金管楽器からはトランペット、木管楽器からはフルート、そして弦楽器からはヴァイオリンが、それぞれみんなも知ってそうなメロディを一節きかせてくれる。弦楽器は首席ソロコンマスの石田さんと第一ヴァイオリン松尾茉莉さんのデュオで「アメイジング・グレイス」だった。

パイプオルガンは今クールはホールオルガニストの近藤さんで、こちらもルーシーのていねいな紹介がきける。

オルガンのあとは指揮者インタビューもあり、今回はじめましての清水醍輝さんは元は新日フィルのコンサートマスターまでつとめたほどのヴァイオリン奏者だったが、楽器演奏にさしつかえるご病気を経て、今は指揮の方に注力なさっているというプロフィールをうかがう。

いまや卒業式で演奏される(5年生がリコーダーで演奏する)曲としておなじみの「威風堂々」のオルガン付という大迫力版でしめたあとは、こちらもおなじみ、拍手で参加する「ラデツキー行進曲」で楽しくおひらき。

 

かなフィル✕みなとみらいホールのアーティストが本気でくりひろげる音楽のシャワーは何度聴いても元気が出てありがたい。ホールも生オーケストラもはじめて、というのが大多数のこどもたちが、あのとき石田組長の音を聴いてたのか、などといつか思い出す日も来るのかな⋯

 

2024年9月24日(火)

ミューザ川崎シンフォニーホール

YAMATO String Quartet

石田泰尚(Vn)

執行恒宏(Vn)

榎戸崇浩(Va)

阪田宏彰(Vc)

 

月に一度のミューザ詣で、回を追うごとにすこしずつ編成が大きくなる熱狂の夜は第4夜でカルテット、今年で結成30周年を迎えたYAMATO String Quartetの演奏会だった。秋分すぎて六時にはもう暗いが、ホールへの道ももうすっかり通い慣れた。チケットは完売、満員御礼。

プログラムは前半がクラシックでプッチーニとグリーグの弦楽四重奏曲。プッチーニの「菊」はパトロンの急死を受け一晩でかきあげられたというしっとりした作品で、グリーグの方は思ったより現代的な印象も受けるエネルギッシュな作品だった。

20分の休憩を挟んで、後半は「クリムゾン・キングの宮殿」のアルバム全曲とピアソラ2曲。キング・クリムゾンはエレキのようにねばる音の迫力が凄く、熟練のピアソラも当然かっこいい。近藤和明さんのアレンジはどの曲も、4人なのに音にそれ以上の厚みがあり4人それぞれの見せ場がちゃんとあるのがいい。

全力で演奏したあとのアンコール(ほぼ第三部)がまたすごくて、

 

ジェリー・ボック:(ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」より)サンライズ・サンセット

ビートルズ・メドレー 

ディープ・パープル(松岡あさひ編):Smoke on the water [編曲初演]

 

1曲演奏後に、簡単なあいさつが入り、2曲目のあとも「へとへとですが、もう一曲」という大盤振る舞いで、最後はスタンディングオベーションのもりあがりで9時20分を回っておひらきになった。

美しくいい音にたっぷりひたるひとときだった。

 

ちなみに来月の第5夜「石田組」でも、「21世紀のスキッツォイドマン」がきけるらしい(近藤和明のアレンジも共通)。編成違いの演奏を楽しめるのもこういう企画ならでは。

2024年9月21日(土)13:30開演

鶴見区民文化センター サルビアホール

 

今シーズンはじめてシリーズ定期会員デビューしたかなフィルの、初(?)のファン感謝イベントに参加した。かなっくホールの次に身近なサルビアホールだったので気軽に申し込めた。

イベントは昼からと夕方からの2部制で、昼の部はシベリウスの交響詩「フィンランディア」、夕方の部はワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、それぞれ沼尻マエストロによるリハーサル風景を三十分ほど聴いた後に本番の演奏、さらに楽団のフォトセッションやマエストロのトーク、帰りにはおみやげにブルーダル✕沼尻マエストロのコラボステッカーまでいただけるという楽しい会だった。

 

楽団員さんたちは普段着、マエストロはブルーダルくんを背負った黒いTシャツ姿でのリハーサルは、マエストロの指示や説明がとにかくおもしろい。譜読みから得られた自分の脳裏にある理想の演奏に近づけるべく、強弱の付け方では作曲家の真意をくみ、全体のイメージは比喩だけでなく芝居も歌も駆使して伝える。背中の客席を意識したサービス解説もときどきあって(フィンランド語の「スオミ」から三谷幸喜最新作の話とか)、退屈する隙もなかった。そして団員のみなさんも、指示を聞いてそれを頭に入れて(メモしてる暇はなさそう)、すぐに途中からでもぱっと演奏ができてほんとうにすごい。

 

演奏後の後半は沼尻マエストロのトーク、聞き手というか相方は朝日新聞記者(音楽専門)の吉田純子さん、マエストロとの最初のコンタクト(おそらくこのインタビュー)が県民ホールのオペラ「ばらの騎士」というかなフィルゆかりの演奏会(2008年)だったという話から、神奈川に縁が深いマエストロのあれこれ楽しいお話をききだす…というか繰り広げてくださった。来シーズンのプログラムの話になると、意気込みや目論見のお話は尽きず、どれもこれも聴きたくなってしまう。しばらく先の申込みまでかなり悩むことになりそう。

一見ちょっととっつきにくそうにみえて、実はおしゃべりが巧みだというのは、5月の県民ホールでの池辺御大とのかけあいで発見済みだったが、今回のイベントでますます親しみが増した。吉田純子さんがかつて引き出した「売れ筋の名曲を並べ、客を呼ぶのは公立ホールのやるべき仕事じゃない。楽団や歌手のレベルをあげ、一緒に育ってくれる聴衆をこそ大切にしたい」ということばはいまも胸に、2028 年3月末まで音楽監督としての任期延⾧も決まったばかり。自分もともに育っていく聴衆のひとりでありたいと思えた。

あと、十年前に横浜みなとみらいホールの委嘱で作曲された歌劇「竹取物語」の再演は、ほんとに遠からず実現しますように⋯

 

フォトセッションの写真。石田泰尚さんはお留守で、ゲストコンマスは石田組でもおなじみの東亮汰さんだった。

(他にもゲストの人が何人かいらしたようだし、リハーサル中は舞台上手奥に演奏しないスタッフが一人座っていたのも気になったので、いつもの定期のようにシーティングの発表が、また裏方のスタッフ紹介などもあるとさらにうれしいと思った)