青空の下
犬を連れたおじいさんに
杖をついたおばあさん

駅までの道のり
公園の池の周り
抜けるような青空の下
今日もお年寄りが頑張っている

なのに

なぜその中に
母を見つけられないのだろう。。。


青い空が大好きだった


青空になると
母は嬉しそうにカーテンを開けて
日差しを部屋に取り込んだ


青空になると
母はお気に入りの帽子を被って
散歩に出かけた


100メーターほどで
しんどくなるから
家から持ってきた簡易椅子で
どっこいしょと休憩をする


「次はどこまで?」

「次は電柱一つぶん」

それを聞いて母は
自分を奮い立たせるように
杖を握りしめて立ち上がり
私が言った電柱をみつめてまた歩き出す


普通なら10分ほどで歩ける距離
1時間くらいかけて

ちょうどよくお昼に到着した
馴染みの蕎麦屋ののれんをくぐり

席に座ると
「歩けてよかった」
母はうなづきながらいつもそう言った

母はおかめ、
私は天ぷらうどんの分かれを頼み
天ぷらを二人で分けて食べた


母が美味しそうに食べてる間
私は急いで食べ終え立ち上がり
スーパーに買い物へ行く

パン屋も行く
クリーニング屋も行く
銀行も行く

母が待ってる姿を思い浮かべながら
息を切らして蕎麦屋に戻る



そんな日常だった
そんな日常がたいへんでもあり
そんな日常が当たり前だった


そんな日常を
なぜもっと愛おしいと
その時に気づけなかったのか
切なくて切なくて
涙が溢れて来る


青空は
悲しみの色
どこまでも深い
悲しみの色


お母さん
お母さん
ほんとうにごめんね。