ねえねえ、ヘンテコ頭のウマシカさん、樹里ちゃんのタタキ台って何なん?

 

ふっふっふ・・・

それはね、樹里ちゃんの骨組みに加筆修正した駄文のことさ。

タタキ台が出来ただけでも気が楽になるね。

あとは、二審判決の内容に合わせて、アチコチ改変すればいいのさ。

 

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樹里ちゃんのタタキ台

 

令和〇年(ネ受)第〇号 上告受理申立て事件

(原審 東京高等裁判所 令和〇年(ネ)第〇号 損害賠償請求控訴事件)

申立人 ウマシカ 相手方 ○○ 外1名

 

上告受理申立て理由書

令和〇年〇月〇日

最高裁判所御中 上告受理申立人ウマシカ 🐾

頭書事件につき、申立人は下記のとおり上告受理申立ての理由を提出する。

原判決は、最高裁判所の判例と相反する判断、並びに、法令の解釈に誤りがあり、判決に影響を及ぼすことは明らかである。

附属書類 正本1通 副本7通

 

本件事案の概要  

本件は、弁護士である相手方が、申立人がインターネット上のブログに掲載された懲戒請求書のひな形を用いて相手方に対する弁護士懲戒請求(本件各懲戒請求)をしたことが不法行為を構成すると主張して、本件各懲戒請求者に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、それぞれ〇万円(慰謝料〇万円及び弁護士費用〇万円の合計)及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。一審判決について、双方が各敗訴部分を不服とし、それぞれ控訴した。

 

原判決の要旨 ※ヘンテコ一審判決をネタにしたよ!

原判決は、「原告ら(相手方ら)は、本件会長声明の発出主体ではなく、東京弁護士会の役員でもなく、本件会長声明について具体的な関与をした事実を認めるに至る証拠もない。また、上記懲戒事由について、その裏付けとなる証拠はないから、原告らに対する本件懲戒請求は事実上又は法律上の根拠を欠くものというべきである。(原判決書6頁)」として、「被告(申立人)による本件懲戒請求は、原告らに懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査、検討をすることなしに、上記根拠を欠くことを承知の上で行ったものであり、弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし、相当性を欠くと認められるから、違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解するのが相当である。(原判決書7頁)」などとして「本件各懲戒請求者に対し、それぞれ〇万〇円(慰謝料〇万円及び弁護士費用〇円の合計)及びこれに対する不法行為の日である平成29年11月〇日から支払い済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由が無いからいずれも棄却すべきものと判断する。」とした。

 

上告受理申立ての理由第1:射程外の判例を採用した原審の誤りと判例違反 

原判決の誤りの大きな原因は、本件懲戒請求の態様とは全く異にする判例を判断基準にしていることである。その判例とは最高裁判所第三小法廷平成19年4月24日判決・平成17(受)2126・民集第61巻3号1102頁(以下、「平成19年最判」という。)である。この平成19年最判の事案とは次のとおりである。

 

弁護士である上告人が,Y1 が代表者を務めるA(以下「A」という。)によ る懲戒請求等の申立てや訴訟の提起等が上告人の名誉又は信用を毀損するものとして不法行為に当たるなどと主張して,Y1及びAの代理人弁護士として関与したY2に対し,損害賠償として連帯して500万円及び遅延損害金を支払うよう求める事案である。

(最高裁判所第三小法廷平成19年4月24日判決書・1頁)

 

この事案における懲戒請求は係争中に行われ、懲戒事由は裁判所の催告による訴訟の提起であり、請求書作成者であるY2弁護士は懲戒請求における代理人を務めている。懲戒請求者のY1は、係争中の相手による訴訟の提起(裁判所の催告による)について、裁判所への出頭は過大な負担を強いることになるのに乗じて提起されたもの、とした。しかしY1は、高齢で目が悪く裁判所への出頭に丸1日を要するとしながらも、自ら訴訟を提起しているのである。その結果、平成19年最判の要旨のとおり、Y1とY2による懲戒請求は違法な懲戒請求として不法行為を構成する、と判断されたのである。

 

弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成する。(裁判例結果詳細より引用) 

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=34555

 

平成19年最判の事案における懲戒請求と本件懲戒請求の唯一の共通点は「懲戒請求をした」という点のみであり、懲戒請求の態様は全く異なっている。本件の原審は、上記の裁判要旨が導き出された理由や根拠を一切確認することなく、事案の概要が異なる裁判要旨を原判決書に引用し、係争中になされた懲戒請求と、懲戒対象弁護士とはなんら係争関係にない本件懲戒請求を同一視した上で、本件懲戒請求を不法行為であると判示したのである。即ち、原審は、射程外の判例を本件懲戒請求にそのまま当てはめて、弁護士懲戒制度の趣旨目的からは到底導き得ない判断を示している

 

そもそも、本件懲戒請求の態様と酷似する判例は、最高裁判所第二小法廷・平成21(受)1905・平成23年7月15日判決・民集 第65巻5号2362頁(以下、{平成23年最判}という。)である。この平成23年最判の事案は次のとおりである。

 

本件は,弁護士である平成21年(受)第1905号上告人・同第1906号被上告人(以下「第1審原告」という。)らが,平成21年(受)第1905号被上告人・同第1906号上告人(以下「第1審被告」という。)がテレビ番組で第1審原告らについて弁護士法58条1項所定の懲戒請求をするよう呼び掛けるなどしたことは,第1審原告らの名誉を毀損するとともに,名誉毀損とは別個の不法行為を構成するなどと主張して,第1審被告に対し,第1審原告らの被った精神的苦痛について慰謝料等の支払を求める事案である。

(最高裁判所第二小法廷平成23年7月15日判決書・1頁より引用)

 

平成23年最判の要旨は次のとおりである。

 

弁護士であるテレビ番組の出演者において,特定の刑事事件の弁護団の弁護活動が懲戒事由に当たるとして,上記弁護団を構成する弁護士らについて懲戒請求をするよう視聴者に呼び掛けた行為は,次の(1)〜(5)など判示の事情の下においては,上記弁護士らについて多数の懲戒請求がされたとしても,これによって上記弁護士らの被った精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えるとまではいえず,不法行為法上違法なものであるということはできない。

(1) 上記行為は,娯楽性の高いテレビのトーク番組における出演者同士のやり取りの中でされた表現行為の一環といえる。

(2) 上記行為の趣旨とするところは,懲戒請求は広く何人にも認められるとされていることなどを踏まえ,視聴者においても上記弁護活動が許せないと思うのであれば懲戒請求をしてもらいたいとして,視聴者自身の判断に基づく行動を促すものであり,その態様も,視聴者の主体的な判断を妨げて懲戒請求をさせ,強引に懲戒処分を勝ち取るという運動を唱導するようなものとはいえない。

(3) 上記弁護士らは,社会の耳目を集める刑事事件の弁護人であって,その弁護活動の当否につき国民による様々な批判を受けることはやむを得ないものといえる。

(4) 上記懲戒請求が多数されたについては,多くの視聴者等が上記出演者の発言に共感したことや,上記出演者の関与なくしてインターネット上のウェブサイトに掲載された書式を使用して容易に懲戒請求をすることができたことが大きく寄与している。

(5) 上記懲戒請求は,ほぼ同一の事実を懲戒事由とするもので,弁護士会の綱紀委員会による事案の調査も一括して行われ,上記弁護士らもこれに一括して反論をすることができ,同弁護士会の懲戒委員会における事案の審査は行われなかった。

(補足意見がある。)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81507

 

平成23年最判の事案における懲戒請求は、テレビ番組に出演した弁護士の呼び掛けに応じてなされたものである。さらに、懲戒請求者らはテレビ番組の視聴者であり、懲戒対象弁護士らと懲戒請求者らは何ら係争関係にはない。この事案では、書式にあらかじめ記載されたほぼ同一の事実を懲戒事由として懲戒請求がなされたが、広島弁護士会綱紀委員会による事案の調査は一括して行われている。その結果、「多数の懲戒請求がされたとしても,これによって上記弁護士らの被った精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えるとまではいえず」という判断に至っている。

 

本件懲戒請求との共通点は、①呼びかけに応じて成された懲戒請求、②懲戒対象弁護士らと懲戒請求者らは何ら係争関係にないこと、③弁護士若しくは弁護士会の活動について国民による様々な批判があること、④書式に予め記載された同一の事実を懲戒事由として懲戒請求がなされたこと、⑤綱紀委員会による事案の調査は一括して行なわれたこと、である。懲戒請求の態様について平成23年最判の事案における懲戒請求とほぼ一致しているから、平成23年最判の射程が及ぶことは明らかである。

 

原審の判断は、同一の事実を懲戒事由として多数の懲戒請求が行われた判例である平成23年最判の存在、並びに、弁護士会綱紀委員会の果たす役割を無視した上で、事案の概要が異なる平成19年最判の要旨を引用し、本件懲戒請求について弁護士懲戒制度の趣旨目的からは逸脱した判断を行ったものである。したがって、原判決は平成23年最判と相反する判断であるから、判例違反が判決に影響を及ぼすことは明らかである。 

 

上告受理申立ての理由第2の1:弁護士法第31条に関する原判決の誤り

「原告らは、本件会長声明の発出主体ではなく、東京弁護士会の役員でもなく、本件会長声明について具体的な関与をした事実を認めるに至る証拠もない。」と原審は判示するが、以下のとおり誤りである。

 

原審の判断には、本件会長声明と会員である相手方らとの関係性という視点が欠けている。そもそも弁護士自治とは、昭和24年に現行弁護士法の制定に伴って、弁護士会及び日本弁護士連合会に認められた広範な自治権である。大日本帝国憲法の下において、弁護士制度は司法省の監督下にあった。基本的人権を擁護し社会正義を実現するための弁護士の活動は、時として国家機関に対する批判の立場に立つこともあるため、弁護士の活動を国家機関の監督から独立させる必要があったのだ。弁護士会の自治を確立することは、当時の弁護士界の悲願とされていたのである。弁護士に対する国家権力の監督を排し自治を認めることの帰結として、弁護士となるためには弁護士会への加入が義務付けられている。

 

弁護士法(目的及び法人格)

第31条 弁護士会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士及び弁護士法人の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。

2 弁護士会は、法人とする。

 

国家権力に代わり、弁護士及び弁護士法人の指導、連絡及び監督に関する事務を行うはずの弁護士会及びその連合体の日本弁護士連合会は、長年にわたり、本件会長声明だけでなく、特定の政党と同じ政治的主張を掲げて全世界にアピールする政治活動を行ってきた。政治的に偏りのある主張を、全弁護士が強制加入している弁護士会がその会長声明として発信しているのである。会長声明の名義人である弁護士会会長や、発出を決定した理事(副会長)が国民からその非行について責任を問われるのは当然である。

 

しかし、1名の弁護士会長と数名の副会長だけで、政治的声明の発出を長年続けることはできない。会員弁護士がこれを支持し、会長選挙でそのような会長を選出し、その活動を支えているからこそ、長年にわたって出来るのである。それゆえに、会長と副会長の非行の監督責任は、会員弁護士全員に帰属するのである。このように、本件会長声明と会員である相手方らとの間には密接な関係があるのだ。

 

すると、「原告らは、本件会長声明の発出主体ではなく、東京弁護士会の役員でもなく、本件会長声明について具体的な関与をした事実を認めるに至る証拠もない。」とする原審の判断は、会長を支える会員弁護士の責任を一切問わないとするものである。弁護士法第31条の規定から逸脱した弁護士会活動に対する会員弁護士の不作為を容認する原審の判断は法解釈を誤ったものである。

 

上告受理申立ての理由第2の2:弁護士法第58条に関する原判決の誤り

「上記懲戒事由について、その裏付けとなる証拠はないから、原告らに対する本件懲戒請求は事実上又は法律上の根拠を欠くものというべきである。」と原審は判示するが、以下のとおり誤りである。

 

本件会長声明に限らず、弁護士会会長声明の内容には問題があり、会長声明を会員弁護士らが黙認容認する姿勢にも問題がある、などと一般国民が考え、懲戒を請求することは弁護士法で認められている。「何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる」と規定されているからである。

 

本件懲戒請求の場合、本件会長声明の存在は事実であり相手方らが本件会長声明を黙認・容認したことは事実である。さらに、相手方らがLAZAKに所属していることも事実である。本件懲戒請求は、事実に基づいて思料し行われたものであるから、事実上並びに法律上の根拠がある。

 

弁護士法(懲戒の請求、調査及び審査)

第58条 何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。

2 弁護士会は、所属の弁護士又は弁護士法人について、懲戒の事由があると思料するとき又は前項の請求があつたときは、懲戒の手続に付し、綱紀委員会に事案の調査をさせなければならない。

3 綱紀委員会は、前項の調査により対象弁護士等(懲戒の手続に付された弁護士又は弁護士法人をいう。以下同じ。)につき懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認めるときは、その旨の議決をする。この場合において、弁護士会は、当該議決に基づき、懲戒委員会に事案の審査を求めなければならない。

4 綱紀委員会は、第2項の調査により、第1項の請求が不適法であると認めるとき若しくは対象弁護士等につき懲戒の手続を開始することができないものであると認めるとき、対象弁護士等につき懲戒の事由がないと認めるとき又は事案の軽重その他情状を考慮して懲戒すべきでないことが明らかであると認めるときは、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする議決をする。この場合において、弁護士会は、当該議決に基づき、対象弁護士等を懲戒しない旨の決定をしなければならない。(後略)

 

弁護士法においては,懲戒請求権の濫用により惹起される不利益や弊害を防ぐことを目的として,懲戒委員会の審査に先立っての綱紀委員会による調査を前置する制度が設けられている。また、綱紀委員会が必要と認める場合、法に基づいて懲戒請求者に陳述を求めることができる。しかし本件懲戒請求において、申立人は陳述を求められることはなかったのである。

 

弁護士法(綱紀委員会による陳述の要求等)

第70条の7 綱紀委員会は、調査又は審査に関し必要があるときは、対象弁護士等、懲戒請求者、関係人及び官公署その他に対して陳述、説明又は資料の提出を求めることができる。

 

本件懲戒請求は大量になされたが,現に東京弁護士会綱紀委員会は一括処理を行い,懲戒委員会に審査を求めない、との議決をしている。相手方らは、東京弁護士会から議決書及び決定書の送達があった日に、自らが懲戒請求を受けた事実を知ったのである。すると、懲戒請求権の濫用により惹起される不利益や弊害を防ぐことを目的とした綱紀委員会がその役目を果たしたにもかかわらず、相手方らは本件懲戒請求によって実際にどのような損害を被ったというのであろうか。金銭で償わなければならないほどの損害が実際に生じたといえるかどうかということによって、本件懲戒請求の違法性の有無が決められるべきである。 

 

弁護士法の規定に従えば、司法がわざわざ乗り出して本件懲戒請求における不法行為の成否を探り,損害賠償を命ずるか否かをチェックする等の対応をする余地はないはずである。そもそも、懲戒事由の裏付けとなる証拠の有無によって不法行為の成否を司法が判断することは、懲戒権発動の端緒となる申立てとして公益上重要な機能を有する懲戒請求を「違法な懲戒請求」へと貶める不当な行為である。即ち、「懲戒の事由があると思料し」て「その事由の説明を添えて」なされた懲戒請求は、「事由の説明」が事実でありながらも、懲戒事由の裏付けとなる証拠ではないと司法が判断すれば「違法な懲戒請求」にされてしまうということである。この時点で、弁護士懲戒制度の趣旨目的は失われたものといえる。

 

したがって、「上記懲戒事由について、その裏付けとなる証拠はないから、事実上又は法律上の根拠を欠くというべきもの」とする原審の判断は、弁護士法第58条の解釈を誤ったものである。

 

上告受理申立ての理由第2の3:弁護士法第56条に関する原判決の誤り

「被告による本件懲戒請求は、原告らに懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査、検討をすることなしに、上記根拠を欠くことを承知の上で行ったものであり」「違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解するのが相当である。」と原審は判示するが、以下のとおり誤りである。

 

被告による本件懲戒請求とは、「弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料」したので、「その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求め」たものである。「思料」とは「そうではないか、と考えること」であるから、「その事由の説明」とは「そうではないか」という推量の段階における「事由の説明」であるのだ。懲戒請求は懲戒権発動の端緒となる申立てにすぎない。懲戒権者は弁護士会である。

 

ところが、原判決には「懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠」という一文がある。「懲戒事由」を規定しているのは弁護士法第58条ではなく、同法第56条である。

 

弁護士法(懲戒事由及び懲戒権者)

第56条 弁護士及び弁護士法人は、この法律(外国法事務弁護士法人の使用人である弁護士にあつては、この法律又は外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法)又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。

2 懲戒は、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。

3 弁護士会がその地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して行う懲戒の事由は、その地域内にある従たる法律事務所に係るものに限る。

 

懲戒事由の有無を判断し懲戒を行うのは弁護士会である。つまり、「懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠」の有無を判断し懲戒を行うのは弁護士会なのである。さらにいえば、「懲戒事由があると思料」して懲戒の請求がなされたものについて、弁護士会は「懲戒事由がある」かどうかを判断するのである。

 

このように、「懲戒事由があると思料する」ことと、「懲戒事由がある」ことは全く別のものである。

 

原審は、懲戒事由があると思料するときに懲戒の請求ができると規定した弁護士法第58条と、懲戒事由及び懲戒権者を規定した同法第56条とを混同している。その上で、事実を記載した本件懲戒請求において、懲戒事由についての厳格な調査、検討の不備を理由に「違法な懲戒請求」であると判示したのであるから、原審による同法第56条の解釈誤りは明らかである。弁護士懲戒制度は国家機関の関与を排除した自治的な制度である。にもかかわらず、国家機関である司法が同法第56条の解釈誤りによって一般国民による懲戒請求の門戸を狭める判断を示すことは、弁護士懲戒制度の趣旨目的に反するものであるといえる。 

 

上告受理申立ての理由第2の4:弁護士法第64条の6及び7に関する原判決の誤 り

原審は「被告による本件懲戒請求は」「弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし、相当性を欠くと認められるから、違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解するのが相当である。(原判決書7頁)」と判示するが、以下のとおり誤りである。

 

弁護士自治とは、昭和24年に現行弁護士法の制定に伴って、弁護士会及び日本弁護士連合会に認められた広範な自治権である。大日本帝国憲法の下において、弁護士制度は司法省の監督下にあったのである。基本的人権を擁護し社会正義を実現するための弁護士の活動は、時として国家機関に対する批判の立場に立つこともあるため、弁護士の活動を国家機関の監督から独立させる必要があった。弁護士会の自治を確立することは、当時の弁護士界の悲願とされていたのである。

 

弁護士に対する懲戒請求を何人も行うことができるとしたのは、現行弁護士法が弁護士の懲戒権行使を弁護士会の自治権の一部として位置付けており、その結果、弁護士会に弁護士懲戒権行使を委ねているからである。その適切な行使を可能とするために広く一般の人に懲戒を請求することを認めたのである。このように、「弁護士自治」は弁護士会に認められた権利であると同時に、国民も「弁護士自治」に関わりを持つのである。

 

弁護士の業務の多くは公共性を帯び、弁護士会も社会公共的役割を求められている公的団体である。したがって、弁護士及び弁護士会の活動について国民は関心を持ち、同時に監視の目を光らせる必要がある。「弁護士自治」について国民は無関心でいてはならないのだ。

 

すると、弁護士会本来の目的(弁護士法第31条)から外れた活動について、弁護士としてあるまじき行為だと思料し、事実に基づいた説明を記載して懲戒の請求を行うことは何ら問題はないはずである。

 

本件懲戒請求は、本件会長声明(「朝鮮学校への適正な補助金交付を求める会長声明」)に端を発している。補助金の原資は公金でありながら日本国民の利益にならない本件会長声明を発することは、法が定めた弁護士会の目的から外れた活動ではないのか。本件会長声明を会員弁護士が黙認・容認することは日本の弁護士としてあるまじき行為ではないのか。このように一般国民が思料し懲戒を請求することについて、一体どこに不法行為性があるというのだろうか。

 

そもそも相手方らによる本件訴えの提起は、本件懲戒請求書に記載された個人情報の目的外利用によるものである。弁護士法には、懲戒請求者の個人情報がどのように使われるかについての規定がある。申立人が本件懲戒請求書に氏名及び住所を記載したのは、 相手方らに申立人の個人情報を提供するためではないのだ。申立人を含む本件懲戒請求者らは、本件懲戒請求の時点において、相手方らとは何ら係争関係には無かったのである。本件懲戒請求者の個人情報の流出元は本件懲戒請求書に他ならない。

 

弁護士法(懲戒の処分の通知及び公告)

第64条の6 弁護士会又は日本弁護士連合会は、対象弁護士等を懲戒するときは、対象弁護士等に懲戒の処分の内容及びその理由を書面により通知しなければならない。

2 弁護士会又は日本弁護士連合会は、対象弁護士等を懲戒したときは、速やかに、弁護士会にあつては懲戒請求者、懲戒の手続に付された弁護士法人の他の所属弁護士会及び日本弁護士連合会に、日本弁護士連合会にあつては懲戒請求者及び対象弁護士等の所属弁護士会に、懲戒の処分の内容及びその理由を書面により通知しなければならない。

(後略)

 

弁護士法(懲戒の手続に関する通知)

第64条の7 弁護士会は、その懲戒の手続に関し、次の各号に掲げる場合には、速やかに、対象弁護士等、懲戒請求者、懲戒の手続に付された弁護士法人の他の所属弁護士会及び日本弁護士連合会に、当該各号に定める事項を書面により通知しなければならない。

一 綱紀委員会に事案の調査をさせたとき又は懲戒委員会に事案の審査を求めたとき その旨及び事案の内容

二 対象弁護士等を懲戒しない旨の決定をしたとき その旨及びその理由

(後略)

 

このように、懲戒請求書に記載された個人情報である氏名及び住所は、懲戒の処分の通知及び懲戒の手続に関する通知に必要であり、そのためにのみ使われるべきものである。

 

ところが、相手方らの一人は、本件訴えの前に、「支払請求通知」と称する信書を「ゆうメール」で申立人を含む本件懲戒請求者らに送付している。さらに相手方らは、本件訴状の送達のために本件懲戒請求書の個人情報を目的外利用したのである。弁護士法で規定された個人情報の取扱いが相手方らによって蔑ろにされていることは明らかである。

 

相手方らによる本件訴えによって、弁護士懲戒制度は、懲戒対象弁護士が懲戒請求者の個人情報を報復的あるいは懲罰的ともいえる訴訟のために目的外利用するための制度に変質したといえる。原審は本件訴えの提起について何ら判断を示していないからである。

 

原審は、本件懲戒請求について「違法な懲戒請求として不法行為を構成する」という判断を示すならば、同時に、相手方らによる本件訴えの不法行為性についても判断を示すべきである。 このように、原判決は、弁護士法第64条の6及び7の解釈を誤っている。

 

上告受理申立ての理由第2の5:まとめ

原判決は、弁護士法の趣旨からは導き得ない解釈を度重ねて行ったものであり、同法の規定に違反するものであるから、法令違反が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

 

結語 

以上より、原判決は、最高裁判所の判例に相反する判断だけでなく、法令解釈の誤りを重ねて行なったものであるから、本申立ては受理されるべきであり、相当の判断がなされるべきである。 以上

 

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ヘンテコ長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

樹里ちゃんのタタキ台もヘンテコ表現があるね。

語尾が重複するところとか色々気になるけど、後でジックリ見直そう。

ウマシカの場合、二審判決まで2カ月以上あるからさ。

次はジョーの骨組みを加筆修正するのだあああ!

ぼちぼち頑張りまっせ。