関連する2冊の本を読んだ。(そもそもこういう貴重な書籍を研究・翻訳してくれたり出版してくれたりしている人々に感謝だ)
ちくま学芸文庫『経済の文明史』(カール・ポランニー)
岩波文庫『贈与論』(マルセル・モース)
この2冊の著者たちにこれらの書籍を書かせる元となったのは、文化人類学者マリノフスキーがトロブリアンド諸島で研究したクラ交易だ。この交易は、現在普通に考えられている利潤を得るための交易ではない。
この交易は、贈り物と奉仕の相互交換を生み出し、何百キロメートルも離れた人間を直接または間接的に結びつけ、義務のやりとりで複雑な規則を守らせる。
マリノフスキーの研究をほんとに、ポランニーは今現在われわれが知っていて当然と思っている「市場経済」以外の経済のやり方があったことを考察している。モースは、資本主義の超える社会の在り方を構想している。
私たちは、今目の前のあるものがずっとそこにあり、ずっと変わることなく存続していると思っているが、時間や場所の視点を広げてみるとそれはそうでないということが分かる。
今、多くの人が苦しんでいる「市場経済」は、絶対的なものではない。この二,三十年の間に、政権党によって変質されてきた。そもそも政権党は、こんな政策をとることはなく、幅広く国民各界層の利益を顧みていた国民政党だったのだが、それ自体が、小泉さん、竹中さん、安倍さんあたりから変わってきた。
今多くの人が苦しんでいる「資本主義・市場経済」も、不変不滅の絶対的なものではないことをポランニーとモースの著作は教えてくれる。