夏休みもあと少し。週明けには新学期です。
この日は文章の足し算レッスン。
「一万円札が落ちていた」
この文章に一つ言葉を加えて状況を表してみて。
すると、ほとんどの作家さんが
「道に一万円札が落ちていた」
と書きました。
では、もう一つ言葉を加えてさらに詳しく表現してみて。
ある作家さんが書いたのは、
「道に一万円札が2枚落ちていました」
なるほど。意外な展開。
さらに、もう一つ言葉を加えて、もっと詳しく説明してみて。
「道に一万円札が2枚バラバラに落ちていました」
あ、これは何か事件の予感がします。
誰かが単に落としてしまったのか、それとも何か争った後に残された一万円札なのか…。
作者が「一万円札が落ちていた」と書いた時、
作者の頭の中にはどのような情景が思い浮かべられているのか、
読者には想像が難しく、それぞれが思う状況が違ってきます。
しかし、状況を説明する言葉が過不足なく含まれていると、
作者の意図するものにより近い形で読者に伝えることができます。
残念ながら、小学生作家の皆さんにありがちなのは、
「一万円札が落ちていた」
「太郎はそれを拾った」
のような文章。
「道に一万円札が2枚バラバラに落ちていた」
「太郎は周りを気にしながら、素早く1枚拾ってポケットに入れた」
という感じにすると、状況や登場人物の気持ちが汲み取れます。
足し算の文章で得られる効果をみんなわかってくれたようでした。
しかし、文章でさらに大事なのは引き算なんですよ。
その話はまた今度。
考えた状況を文章にしていきます。
詳しく書いた文章の内容を想像して体で表現します。