「自分は一体、経営者なのか? それとも発送業者なのか……」
アパレルや日用雑貨の自社ECショップを運営して10年目。
毎晩、事務所の床に散らばった段ボールとクッション材に囲まれながら、私は深いため息をついていました。
Webディレクターから独立し、「丁寧な梱包」や「心を込めた手書きカード」を強みに、お客様の口コミで少しずつ売上を伸ばしてきた自負はあります。
しかし、売上が伸びれば伸びるほど、自分の首を絞めることになるとは思いもしませんでした。
100件の発送作業を一人でこなす絶望的な日常
セール期や年末などの繁忙期、注文数は跳ね上がります。普段なら喜ぶべきことですが、当時の私にとっては「恐怖」でしかありませんでした。
注文が入るたびにスマホが鳴り、画面を確かめる余裕すらなくテープを貼り続ける日々。
1日100件以上の出荷を一人でこなそうとすると、朝から晩まで手が止まりません。
【ある日のワンオペルーティン】
- 朝 9:00:メールチェックと受注データの出力(この時点で50件超え)
- 10:00〜18:00:ひたすらピッキング、検品、梱包、手書きカードの封入
- 18:30:集荷のトラックを見送り、疲弊して崩れ落ちる
- 19:00〜:疲れ果てた頭で、ようやくメール返信や在庫調整……
商品ページの見直し、新商品の仕入れ、集客施策の立案——本来、経営者がやるべき「本業」には一切手が回りません。
「今日出荷できた」という安堵感と、「今日も経営者らしい仕事が何もできなかった」という強い焦燥感に挟まれる毎日でした。
追い打ちをかけた「ベテランパートさんの退職」
「佐々木さん、申し訳ないのですが今月で辞めさせてください……」
長年現場を支えてくれたパートさんの突然の退職。マニュアルを作っていなかったため、彼女の頭の中にあった手順もすべて私の肩にのしかかりました。
「お客様のために自分が踏ん張るしかない」と人に頼ることを諦めていた私ですが、集中力が切れ、配送ミスが出そうになったとき、ようやく限界を悟りました。
「このままでは、店も自分の体も潰れてしまう……」
こうして私は、重い腰を上げて「新しいスタッフの採用」へと動き出すことになったのです。
しかし、その先に待っていたのは「求人を出しても誰も来ない」という更なる絶望でした。
次回、人手不足の現実にぶつかったお話をさせていただきます。
