前日、天気予報が曇りになってて

 どうやろ。金環日食、見られるかなぁって言うてたんやけど

 せっかくやし見に行こうやってなって

 大阪市立科学館の観望会に行くことになった。


 着いたんは7時くらい。

 もうすでに人がたくさん集まっていた。

 後で報道を見たら7,000人が来ていたらしい。

 

 雲のせいか、日食のせいか

 辺りはだんだん薄暗く、そして風が強くなっている。


 私の隣には、小さな子を連れた家族がいた。


 科学館の人が、前でマイクを使って話している。

 「お呼び出しします」

 小さな子も、いっぱい来てるから

 きっと、親とはぐれたりしたんかなぁと思って聴いていたら

 「晴れ男、晴れ女の方、どうぞ前にお越しください」

 やって。

 なんか和んだ。

 集まった人、みんなが金環日食が見られることを望んでいた。

 雲は厚く、太陽は隠れている。

 科学館の人と報道カメラマンの人が何か話している。

 相談がまとまったのか

 再びマイクの声。

 「えー。もう間もなくで金環です。

  今は雲に隠れていますが

  みなさん、ちょうどいいので本番前の練習をします。

  これから報道用の写真を撮りますんで

  日食グラスを当てて空を見上げてください。

  で、金環日食が見られた!っていう顔をつくってくださいね!

  いきますよ~」

 とかなんとかかんとか。

 苦笑しつつ、ノリでポーズをとったそのときだった。

 雲が切れた。

 見上げた空に太陽が!欠けている!

 湧き起こる歓声!拍手!

 すごい!すごい!ほんま、すごい!

 薄雲がいい具合にベールになって綺麗に金環日食の様子がわかる。

 7時30分ころ、太陽がほんまに美しいリングになった。

 ほんまに綺麗やった。

 見ることができた。

 特別な現象を見ることができた。

 押さえきれない感動と、じわじわ来る幸福感で

 なんだか興奮していた。


 7時40分ころ、科学館の人の

 「大阪では本当に綺麗に見ることができました。

  みなさん、手締めで締めたいと思います。

  三三七拍子でお願いします」

 というアナウンスがあって

 みんなで手締めをして、一応解散となった。

 

 少し時間があったので

 お店に入ることにする。

 科学館の近くをぷらぷら歩く。

 こんな時間に歩いているのが楽しくて

 私は変に浮かれていた。

 サンマルクで朝ご飯。 

 それから、それぞれの職場に向かった。


 素晴らしい一日の始まりだ。