この不思議な木のおわんのような建物は

「静寂のカンピ・チャペル」(Kampin kappeli)。

昨年できた

フィンランドの首都、ヘルシンキの市立の礼拝堂です。




教会ではないので、ここではいかなる宗教の人も

中で祈りを捧げてよいし

瞑想に使ってもOK。

また、この礼拝堂にはソーシャルワーカーも常在し、

相談もできる仕組みになっています。



いつもフィンランドは未来の街だと思う。

宗教を超えた 公共の 祈りのための場所、新しいパブリックの形。



ヘルシンキ市随一のショッピングセンターの目の前にあるにも関わらず

中に入ると、カーブのなかに吸い込まれ、包まれるようなあたたかい感覚に。

壁の素材はもみの木。


岩をかたどった柔らかなフェルトのクッションが地面に無造作に置かれていて


人が自然の中で最も安らげることをデザインした意図(メッセージ/本能)が読み取れる。



喧噪の中でのこの静寂が

確保されているということに(しかも行政から)改めてじーんとする。

「心の中に、静けさは必要だろ?」




この礼拝堂はWDC(ワールド・デザイン・キャピタル ヘルシンキ2012にて

教育や医療など、

これまでデザインとの接点を探る機会が限られていた分野に焦点をあてた

「身体とデザイン」という視点からの試み。


「自治体の福祉サービスと

患者本位の医療をベースに、

快適かつ健康的な環境で、

より健全なライフスタイルを

能率的に実現していく方法を提案する

デザインプロジェクト



は、能書きだけでなく


実際に生きる人々の中に

きちんと機能していて

とても素晴らしい場所でした。



「心の中に、静けさは必要だろ?」



ありがとう。

これをみんなが知っている

これだから、

フィンランドは私にとっての

核となる場所なのです。