ミュージカル『ANNIE』地方公演おえて、全公演終了しました!!
応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。

今回は、ミュージカルに初出演ということや、役柄と自分のギャップなど、不安要素がたくさんある中で、このルースターという役にチャレンジさせて貰いました。

ルースター。
世の中に対する苛立ち、軽はずみな悪事に手を染める軽率さ、人を騙す巧妙さ、得体の知れない自信、異性を惹きつける魅力、自分の利益ためには他人を犠牲にすることも厭わない卑劣さ。
そのすべてに。
自分に足りない部分を埋めなければ、演じきることの出来ない役でした。
初めは引き受ける自信がなく、断ろうとすら思っていました。

そんな時に、まわりにいる人間、大事な先輩、憧れの人たちがかけてくれた言葉、見せてくれた背中が教えてくれた事が沢山あり、
そのお陰でこういう風に考えられる様になりました。

「出来る事をやるのは簡単で、出来ない事をやれる様になる事に価値がある」
そして、
「絶対に成し遂げようと思って挑んで、、それでも叶わなかったとして、それはゼロじゃなくて、前に一歩、後ろに一歩で、それはプラス二歩なんだ」と。

そんなポジティブさを何処かに置き忘れてしまった自分に気付きました。

自分を信じる「勇気」
何があっても成し遂げるという「覚悟」
自分を信じて信じて、絶対にこの役をモノにしてやろう、そう決心しました。

しかしそうは言っても、実際に芝居を作っていく事、演じる事は容易くありませんでした。
自分のやりたい演技ができない、思うように心と身体がマッチしない。
正直、本番が始まってからも自分の演技に満足できているとは言い切れない状態でした。
悔しくて苦しくてたまらなく、何度も挫折しそうになり、逃げ出したくなり、自分の中に閉じこもりそうになりました。
誰かに文句を言われてる訳でもないし、演出から怒られることもないし、漫然と日々の公演をこなしてれば終わりは訪れるし。
そんな逃げ道が頭に浮かび、その誘惑に負けまいと自分の尻に鞭を打って舞台へ向かう、という繰り返し
そんな僕を見守り、支え、アドバイスをくれ、時に叱ってくれ、最後まで味方でいてくれたのが、カンパニーの皆んなでした。

ある共演者の先輩に言われました。
「座組の看板になる役者はね、個室の楽屋をもらうだろ。でもそれは偉いから貰ってるんじゃないんだよ。それだけの責任を背負っているからなんだよ。その責任は重いし、辛いんだよ。だけどそれと、戦うんだよ、負けないように、じっと、自分と戦うんだよ。そうして板の上に立つのが、座組の看板を背負う役者の仕事なんだよ。」

自分の甘さを見透かされたのだと気付き、先輩の大きさを思い知りました。

開演前や終演後、起きてから寝るまでずっと心や身体にルースターを纏いつづけて過ごす様に心がけました。
話していても、笑っていても、自分であって自分ではない誰かがちゃんと心の何処かに存在しているように。
糸をピンと張った状態、緩め過ぎるとたるむ、引っ張りすぎると切れる。
そんなイメージの精神状態を意識しました。

「いつも通りやれば大丈夫」とは一度も考えませんでした。
もちろん、作り上げた芝居をきちんと舞台上で再現していくことは大事だし、舞い上がった時に自分に言い聞かせるためには意味の無い言葉だとは思いません。
そういう意味でなく
逆に「いつでも何か普段と違う事をやるかもしれないぜ?」という気持ちを心の何処か片隅に持つようにしてました。
気取った言い方すれば、懐に仕込んだナイフの様なもの?笑
特に何か仕掛けるというワケではなく、ただ予定調和ではない緊張感を持っていたかったからです。

ある公演の途中、easy streetを歌って袖にはけて楽屋に戻ってから、気持ちが昂ぶってどうにも収まらず、涙が溢れた事がありました。
とにかくその場は堪えましたけど、なんだったんだろーなと今でも不思議に思います。
easy streetは、うまい儲け話を思い付いて浮かれて踊る曲なのに、何で。
緊張、興奮、何が理由だったかはっきり分かりません。
ただ、全部の中で一番集中できていたのが、その回だった様な感じがするんですよね。

当然、うまくいく時ばっかりじゃないし、失敗も多くてブレブレな部分もありました。
ただ、もっと言えば自分でできた感がある時が良いかと言われると、違うと言われる事もあるので、それは何とも言えないんですけど
どんなお客さんにも同じクオリティのものを観せられないとダメだとは十分思ってるので
きちんと自分をコントロールした上で、その時の100%を出し切る事を心がけ続けたいなと思いました。
どんなお芝居でも、その舞台の上で「生きる」ことが、役者の仕事だと思っているので
ルースターの生き様を舞台の上で全力で表現すること
崎本大海の役者としての生き様を全力でぶつける事
それだけは絶対に心に決めて、どんな時でも噛み締めながら毎日を過ごせたと思ってます。
もちろん課題は残るものの、今までの役者人生では無かった壁にぶつかり、今までの100%以上の力でぶつかっていけた事。
それは、何よりの経験であり財産であり、何より大きな自信になったと思っています。

『ANNIE』2015年。
出演できて本当に幸せでした、感謝しています。

さてここまで色々、自分勝手に語ってしまいましたが
ちゃんと最後まで読んでくれていますか?笑
読者の皆さんにも伝えたい、知って欲しいという気持ちと、
自分にとってもすごく大きな出来事だったし、今の気持ちを残しておきたいという気持ちで、ここまで書き綴ってきました。
と言ってるうちに余りにも時間がかかり過ぎて、、、千秋楽から一月以上経っちゃいました。苦笑
書いては読んで書き直して、の繰り返し。
ただその時その時で気分もあるし、きっと明日読んだらまた直したいって思うのかな、と思ったら
こうやってフラフラしてる暇があったら出しちゃおう!と急に吹っ切れました。笑

公演中に29歳の誕生日を迎えました。
これから先また色んな仕事をしていくと思いますが、応援してくれる皆さんの気持ちに、本当の意味で応えたい。
上っ面や薄っぺらじゃなく、かと言って、ワガママや自分本意でもない。
作り手側の僕と、受け取り手の皆さんとの間に、一生の思い出になる様な、かけがえの無い一瞬が生まれるようなお芝居をやる。
そんな役者になれる様に。
命懸けでいきますので。

どうか今後とも
崎本大海を宜しくお願いします。

ありがとうございました。


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