勝利くんの主演舞台『モンスター・コールズ』を観てきました。

もともと2020年に予定され、コロナ禍で発表もなく中止になっていた作品とのこと。

渋谷はBunkamuraには昔行ってましたが、PARCO劇場は初めてかな?滅多に行かない渋谷で、カフェに寄ったり買い物したりなんだかんだで観劇以外も満喫してきました。


STORY

13歳のコナーはイチイの木が見える家で闘病中の母親と2人暮らし。祖母が世話をしにきてくれるが気が合わない。父親は新しい家族を作って出て行った。学校ではいじめられている。

ある夜、モンスターがコナーの前に現れる。「これから3つの物語を聞かせる。私がそれを語り終えた時、お前が4つ目の物語を聞かせるのだ。それはコナーが隠している真実でなければいけない」

時計が12時7分を指すとき、モンスターが1つ目の物語を語り始める。


※以下、ネタバレを含む感想です。



2024.2.28(水) ソワレ 18時開演、20時35分終演


1幕ではコナーの境遇とモンスターとの出会いが描かれます。

冒頭はコナーの悪夢のようなシーンから始まり、朝が来る。コナーは馬の合わない祖母や家を出て行った父親、いじめを繰り返す同級生たちとの人間関係に問題を抱え、鬱々とした暮らしにじっと耐え続けている。そんなコナーの前に現れたモンスターは、3つの物語を語ることで教訓を与える。その教えはコナーにも影響を与え、ついにコナーの怒りが爆発。2幕へと繋がっていきます。


情報解禁時も話題となっていた、27才の勝利くんが13歳の中学生を演じるということ。いつもどこか自信なさげな少年を、猫背の姿勢や怯えような視線、サイズが微妙に合っていない制服などで表現しています。衣装やメイクで劇的に変身することの難しい”13歳の少年”という役だけれど、客席から見ても違和感なく受け入れられるほど完成度が高いことに驚きました。勝利くんあんなに良い顔の持ち主なのにそのオーラを打ち消してすっかり冴えない少年になっていた…!

舞台上には吊るされた何本ものロープと椅子。真っ白な床と後方の壁。一見シンプルなセットに見えるけれど、照明や映像で次々と場面転換し、ロープは形状を変えてさまざまなものを表わす。後方に緑や青のライトを当ててイチイの木を表現したり、モンスターの登場シーンでは怪しげな雰囲気を煽ったり、車のシートベルトになったり。演者が演じながらロープを操り形状を作っていく演出は無駄がなくお洒落。


2幕ではコナーが自分の秘密の物語を語ることになる。

その秘密は「母親の死を望んでしまったこと」。夢の中で崖から落ちそうになる母親。手を差し伸べるコナーだが、途中で手が離れて母親は崖の底に落ちてしまう。コナーは「手が離れたんじゃない。僕が手を離したんだ。まだ耐えられたのに」と泣きながら告白する。

ここで、冒頭の悪夢の意味やコナーが辛い暮らしに耐え続けていた理由が明らかになる。

母親の病気は良くなると信じていたけれど、心のどこかで助からないことを知っていた。その辛い状況を終わりにしたい(=母親の死)と願ってしまった13歳の少年の、ボロボロの姿を観客は見守ることになります。同級生たちからのいじめはそんな自分への罰だと思って受け入れていたのでした。(わたしは勝利くんすごい…!と冷静に見ていたが、隣の人が序盤から号泣していて戸惑った。笑)

決して派手ではないけれど、舞台正面の壁の一部が手前に降りてきて崖を作り、ワイヤーアクションも使って演出するクライマックスは圧巻です。


コナーを演じ終えたカーテンコールの勝利くんの表情は忘れられない。舞台が好きだとよく言っていた、その情熱を間近で感じられて。涙に濡れた瞳の美しいことよ…!

グループとしても事情を抱えたタイミングでの稽古、そして毎日の公演。どれほど大変か想像もできないけどどうか心と体に気をつけてね…と親戚のおばちゃんの気持ちで拍手を送ってきました。



ポスタービジュアルはコナーだけどこちらはいつもの美しい勝利くん。板の上では全然違う。