2004年、フジテレビ系
『人間の証明』
原作:森村誠一/主演:竹野内豊



郡恭子(松坂慶子)による、
実の息子ジョニー・ヘイワード(池内博之)殺害事件

恭子が自分で産んでおきながら、豊かな暮らしを求めて捨てた一人目の息子、ジョニー。

ただひと目会いたいという理由でアメリカから会いに来たジョニーを、今の生活と地位、名誉を守るために恭子は殺害。 


棟居が読んだ西条八十の詩により、
唯一の幸せなひと時であったジョニーとの時間を思い出し涙を流す。

恭子に感じては、
罪を認めて頷いた瞬間が、
全シーンの中で一番美しかった
棟居により人間に戻された瞬間であろうビックリマーク

《西条八十「ぼくの帽子」
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

母さん、あれは好きな帽子でしたよ、僕はあのときずいぶんくやしかった、だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

 

母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、紺の脚絆に手甲をした。そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。》



恭子息子・郡翔平(高岡蒼佑)による小山田文枝(横山めぐみ)拉致監禁致死事件

被害者は、恭平が麻薬と銃を隠すのを目撃してしまった小山田文枝

その夫・武夫を國村隼
愛人の新見を風間杜夫が熱演メラメラ

武夫と新見は本作で最も人間くさく感じた合格

彼らも棟居が恭子と人間対人間の正面切っての勝負を挑んだように、
人間を愛する人間としての、人間の証明
勇ましく行動でしてみせた非常に強い人達ラブ

人間というのは、
愛するひとの為なら

たとえ
無謀と思えることでも
絶対に諦めないし、

他人にどう映ろうが、
必死に汗をかき、怒って泣く

そうやって
正直に生きるものなんだよ、
ということを教えられました😌

二人は同じ女を愛したとはいえ、
夫と愛人だから普通なら敵対する関係。
けれども、二人三脚の地道な努力で文枝を探していく。

文枝の浮気はそれゃあ褒められたもんじゃないけど、人間ってそう簡単じゃないとうか…

犯人が政治家の息子と分かり警察が中々、動かない中、最後まで諦めずにいることで連帯感が芽生えていくのが大変、見所があった。

また、怖い目にあっている
文枝翔平に、
『あんた絶対、
地獄行くから!!』
と果敢に言っていたのも忘れられないえーん

林の下で遺体が見つかった時、車椅子では行けない武夫を、「私がおぶります!」と即、言って
体の大きな武夫をおぶって歩く新見。

人目も気にせず這いつくばって愛妻が亡くなった場所に花を手向ける武夫。


両方の愛情が熱く、尊く、素晴らしかったえーん

悔しいことに亡くなってしまわれたが、
文枝は二人の男に、ここまで愛されていたのだ
と思う瞬間でもあったぐすん

ダウン小山田文枝…美しいですおねがい

武夫と新見が、犯人の翔平ともみ合い、
新見と翔平が林下に転落。


そこで必死に新見翔平の状態を心配し助けを呼ぶ隆夫
を見て、新見は若造で悪人の翔平に語りかける。

あの人からしたら、
僕と君は 
憎まれて仕方ない相手なのに…
なぜだ…僕にも分からない…。

新見「人間は不思議だ」

隆夫の行動は希望そのものであり、
悲しい人間模様の中で強い光となりました。
まるで、暗闇の中に真っ直ぐな道標を示してくれた感じ……✨✨

そして、
新見は翔平の傷を拭い顔を抱き抱え、
今、君に死なれては困るんだよ、と叫ぶ!!

この言葉が時間がかかっても翔平に届いたら、
翔平はやり直すことができるでしょうねむっ

アップ母の恭子から海外逃亡という間違った道を勧められていた翔平。

自分が殺してしまった人の夫と愛人が、 
初めて彼に、人間とは…という大事なもの
教えてくれたのかもしれませんかお

翔平恋人の朝枝路子(松下奈緒)関係性
路子という女性とは?
二人は愛し合っていたのか?
路子という女は一体?

路子は悪女というか、ただの馬鹿なギャルで、
翔平の彼女といっても、

翔平をちゃんと愛しているのか。
そして互いに愛し合っているのか。

最初は特に不鮮明に感じた。

文枝を監禁中、翔平がいない時には、
中途半端な情けを文枝にかけていた路子


そんな路子は、
文枝が死んだ時点で翔平の元を去り逃げるか、
口封じで翔平に殺されるかと予想していたので、

二人が捕まるまで離れなかったのは意外!
だった。

翔平が捕まるとすぐに、 
路子も大人しく捕まったし…タラー


互いに弱く、傷を舐めあっていただけだとは思うが…
ただ、
『僕はずっと前から犯罪者だったんだ』
と恭子に打ち明けた時の翔平から分かるように

翔平は自分の母親よりは何倍も純粋だったよう(典型的なバカ息子のガキおーっ!)なので、
路子を殺すという選択肢は端からなかったのが分かりますね。

むしろ、一人じゃ怖いから必要
という歪な感情では…若者あるあるですね😶

『一緒に死のうか』
と言っても死ねない2人…アセアセ

この時の『私たち、ださいね』いう路子の言葉がそのとおりすぎて…あせる

残念な女性ですが、
芯の強い面も見え隠れしていたような🤔

幼少時代に遠足の用意を母にしてもらえなかった話をした後の翔平を抱きしめたり下矢印

『海外逃亡するからお前はあとで来い』
と言い出した翔平に、

自首をほのめかせながら、
お母さんの言いなりじゃない。お母さんのために逃げるの?
私とお母さん、どっちが大事なの?』

と、翔平に真っ直ぐに説いていたところでそう感じた。

棟居弘一良(竹野内豊)による、
父を殺した米兵への赦し

棟居はジョニー殺しの捜査で渡米中、
自分の父を殺した米兵と再会
そして彼を狙う女を目撃し、
腕を撃たれてまで彼を庇う。
刑事とはいえ、
幼少の頃からずっと
憎んできた相手であるにも関わらず!!


娘の結婚式に参列し、
幸せな父親そのものである顔を見たら
殺せなかった、と後に幼馴染に話すが、

「どうして助けたのか」と本人に尋ねられても無言を通し、
恭子に「あなたは米兵を許せるのか?」と聞かれてもあえて言葉にしないのが良かったグッド!


言葉ではなく態度で人間の証明をしたのだ。
理由は、棟居も相手も人間だから、それにつきるのではないだろうか。

理屈ではなく、身体が動いたということは人間の本能的なものだと思う。

人間は人間を赦すことができる。
なぜなら人間だから。

人間の性善説を信じたい、という作者の叫びを感じた。

■辛い生い立ちの棟居恭子
しかし…
選択したのは真逆の道!!

恭子は、母親からの虐待、義父からの暴行を受け育ち、その生い立ちを理由に
のし上がる為には何をしても構わないという道を選んだけど、

棟居の生い立ちも同じように深い霧のような悲しみにおおわれていた。
前述の通り、父は殺されており、また、
彼は母親がおらず、その愛情を知らない。

だが、その未知で不確かなものが恭子にも眠っているに違いないという思いで、
彼女に「あなたは母親であることから逃れられないと断言してみせた。

恭子とは全く別の道を歩んだといえる棟居
人間の質が問われますね。

「母親の気持が分からないんです」
と言って苦しんでいた棟居に、
偽物の善き母親の仮面を剥がされた恭子であった…。

★人間は捨てたもんじゃない!
そう思わされる人たちに本作で出会えて良かったニコニコ


悲しい事件は令和になっても終わらない(だろう)し、理想論になってしまうが、
棟居さんみたいな刑事が本当にいて欲しい!!

竹野内豊さんが、大杉漣さんや緒形拳さんらと男臭く粘り強く、一切の笑いなしに松坂慶子さんを落としにいく姿、格好良かったですお願い