2010年,テレ東「モリのアサガオ」
郷田マモラ原作。
キャッチコピーは
『親友ができました。死刑囚です。』
新人刑務官の及川直樹役を伊藤淳史、直樹と深く心を通わせる死刑囚の渡瀬満役を井浦新(放送当時はARATA名義)が熱演。
満『死なないんだぞ。どんなに辛いことがあってもお前は死なないんだぞ』
直樹が満の隣で、刑務官としてではなく一人の人間として辛い生い立ちを話し、ただ泣き、肩を抱かれ励まされる第7話のシーン。
少年時代のいっときの関わりで直樹が満に憧れを元々抱いていたゆえに成立していく関係性の二人であり、実際の刑務官と死刑囚でこんな関係性は中々あるとは思えないが泣かされる。
エンディングテーマの、椿屋四重奏のマテリアルが流れるともう😭
特にここの詞が、もうそのまんま直樹の心を現していて素晴らしい!
又、もう一人、直樹の人生に密接な関わりを持つ死刑囚の深堀(柄本明)との場面も見所
『僕はあなたが好きです。』と直樹は深堀に言う。
シンプルな直樹の言葉が刺さる。
『憎めない』とも……。
人が良すぎる、馬鹿じゃないかと思うかもしれないが、
本作の登場人物達はみな、いや、本作そのものが矛盾を抱えている。
死刑の執行というのも、国による殺人……刑務官も人。
執行に何度も立ち合う内に病んでしまう刑務官の話も描かれています。
死刑囚を演じた、いわゆるバイプレーヤーの皆様のアクが強すぎて、題材も含め、よく10時台で連ドラで放送できたなと💦
名のある役者さんが死刑囚を演じているのにも関わらず、執行シーンもリアルでドキュメンタリーのよう言葉を失う…
特に
大倉孝二さんメインの2話ラスト!!
あの「ママー!!」という叫び声は悲痛すぎました
流石、テレ東
また、テレ東にはこうした本気も見せて欲しいです!
WOWOWにも全然負けてない
前述の通り大倉さんは勿論、
津田寛治さんのガラス板への気持ち悪くなるほど激しいひとり接吻、
柄本明さんのスナック菓子を持ちながら痙攣する様子などなど、怖すぎ
怖すぎゆえに、その場面の画像は自粛(笑)
勿論、座長の伊藤淳史さんの安心感というのも言うまでもなく素晴らしい。
重い内容もあったのか数字は決して高くなかった本作だが、彼でなければ見る人はもっと減ったのではないかと思う。私も見てなかったかもしれない。やはりこの笑顔あってこそ
何度も見返して今年、放送後9年後に印象深かったエピソードは第5話。
幼い息子を亡くした犯罪被害者の父親(田口浩正)が、家族を再生させる為に悩んだ末、息子を殺した張本人の死刑囚・迫(津田寛治)と面会。
迫の死刑の停止を求めて法務大臣に嘆願書を出したのだ。
共感できる、できない、等の判断は、もちろん出来ないが、とにかく凄まじい、血の吐く様な思いで決意したに違いないと思った
そしてその苦しみはその先も……。
限りなくない例な気がするが、生きて苦しみぬくことを願う犯罪被害者ももしかしたら、いるのかもしれないと思うと色んな思いが…
第9話においては、
人情味あふれるベテラン刑務官(塩見三省)が、『人一倍、気が弱い』と死刑囚のひとり、世古(温水洋一)について語っているのを見て、ちゃんと内面を見てやっててるんだ…と、刑務官が教師(人生の師)の様に思え懐の深さに感動してしまった…
世古の心の支えだった貼り絵。
心の支えを持たざる者は、死に向かって生きることなどできないのだ。
ただ、肝心の渡瀬満の仇討ち殺人への死刑に関しては……復讐の連鎖というもの等も考えると、感想が中々、上手く書けない。
一人しか殺してない、だから…というのも違うだろうし…。
自分にとって大切な人であれば、正しくないことを選んでしまうかも…
あくまで、死刑囚に対してではなく、渡瀬満に対して、視聴者のひとりとして、私が直樹なら…と考えただけですが…。
最終回のラストシーン。
刑務官を続けており新人を連れています
直樹『通声禁止!』
厳しい顔の中にも彼らしい優しさを残しながら、
心穏やかな良い顔に成長。