『OUT〜妻たちの犯罪〜』


99年にフジテレビの火曜9時枠で放送されていた連ドラ。
原作は桐野夏生の小説。



★主なあらすじ&出演者
主人公の香取雅子(田中美佐子)は、弁当工場で夜勤のパートをしている40歳の主婦。
雅子のパート仲間に、渡辺えり、原沙知絵、高田聖子

ある日、山ちゃん(原沙知絵)がギャンブル狂いでDV癖のある夫を首を締めて殺害
泣きつかれた雅子は、ヨシエこと師匠(渡辺えり)と共に、彼女の夫をバラバラに解体して始末することに。
解体場面を目撃された邦子(高田聖子)には、解体した肉片をゴミとして捨てることだけ手伝わせた。
雅子は金に執着がないが、師匠と邦子は、生活のため、山ちゃんからの金を目的に…。

その一件を知った闇金業者の十文字(哀川翔)は、ビジネスとして死体の解体を雅子に依頼。雅子は師匠を誘いビジネスを始めるが、猟奇的な殺人の前科を持つ男(柄本明)の魔の手が近づいてきて…。

その一連の事件を追う刑事の井口則子(飯島直子)は、少年科にいた際、雅子の息子の非行事件時件を担当したことが縁で、雅子とは友人関係。
複雑な思いを抱きながら、雅子の悪事を暴く運命に…


主人公が殺人じゃなくて、解体のみしていくのがイイ意味で最高に狂っている。
腹が立って旦那を殺してしう、とかではないのです。

死体はあくまでも、きっかけの道具にすぎない。一見、具体的な理由や目的もみえず、
その真相は彼女の根深いところにあった。

「奥さん、
人間は燃えるゴミですよ。」
キャッチコピーも、鳥肌もの!!
これは、カラスが言っているのかなあと想像。

今の民放じゃ、絶対に放送出来ない内容。
実際、当時、クレームは多く来ていたらしい。確かに9時台に放送されていたのが正しかったのかは分からないけど、私は大好きな作品。
20年後に見ても面白いなんて凄い!

見てた当時は子供だったので、作品の本質などは、全然分からなかったけど、今は感じ入るものがある。

主人公の行動自体に共感は出来ないけど、現実を脱したかった気持ちには寄り添える。
だから、解体でなくても何でも良かったのだろろう。

そもそも、雅子は家庭におさまっているタイプではなかった。
会社自体も、辞めたくて辞めたのではなく、男の上司相手に言いたい事を言った結果、飛ばされたという彼女の悔しさ、やり切れなさが根底にあった。

そして、則子も少年課から刑事課に移動になったはいいものの、女性刑事誕生というただの宣伝の道具でしか扱われず、やはり上の男どもが女性の社会進出に理解を示さず、捜査の邪魔をされてばかりだった。

主婦と刑事。

立場が違うので一見、正反対に見える雅子と則子であるが、目的とするところは同じだったのでは。

女性が自由に活躍できる社会で自分自身を活かすことが二人の共通の願いであり生き甲斐にしたかったことだと思う。

だからこそ、
雅子「逮捕してもいいよ」
則子「しないよ」
の結末になったのだろう。
女の友情が強く描かれた作品でもあった。


最終回、遊園地でデートをした時の雅子と則子が忘れられない。
束の間、日常から開放され、欲しかった自由に浸った二人が切なくて…えーん

まさに、♪哀しみのボートで流されても運命ならいいの(オープニングテーマ:松田聖子「哀しみのボート」)だった。

捕まってしまうかもしれない雅子に、死んじゃイヤだ、と涙を見せた則子が本当に愛おしかったしょぼん

1話で、「雅子さんが刑事になってたら課長になっていた、そして私は部下の敏腕女刑事…」と則子が夢見がちに言っていたのを思い出した。
その時の雅子の反応は「だったら、いいね」だった……ぐすん


「カトリサンモアソビニキテクダサイ。
ブラジル、イイトコロデス。
カテイホウカイ、スグナオリマス。」
雅子に恋をする外国人労働者のブラジルさん(伊藤英明)は、唯一の癒やし的存在だった…
大好きでしたえーん💔

それにしても!!!!
田中美佐子さんは、
ため息の似合う日本の女優ナンバーワンだと思う!!
そのため息一つに、覚悟や諦め、寂しさなど、様々な感情が出ているし、色気と哀愁までただ寄っていて格好いいラブ

また、人間の人生は悲劇であり喜劇でもあるという事を全身全霊の泣き笑いで見せてくれた渡辺えりさんも最高爆笑
あの表情は、彼女じゃないと出来ないなあ…ウインク

やっぱり彼女らの芝居を見ちゃうと、若く見えて可愛い、だけが感想の主となっているような民放のドラマが増えているのが残念でならないショボーン
人間を描くのがドラマなのに!!

記憶に鮮烈に残り、今でも見返しちゃう作品であるOUTは、やっぱり素晴らしい!!
フジTVと、関わった役者さん達、スタッフさんを尊敬しちゃう!ラブ
子供が大人の世界をのぞき込めようなスリリングと、想像ができないがゆえの、ある種の憧れがあるドラマだったから。

TVドラマは娯楽。
正しさは、有線事項の一番では少なくともないよね。

だからこそ、またこの頃の面白かったドラマをフジには作って欲しいのだが…うーん

私が、90年代後半から00年代前半にかけて面白かった作品で殿堂入りしてるのはフジが多かった。
古畑、ドク、TEAM 、彼女たちの時代、神様もう少しだけ、Age35 などなど…ラブラブ音譜