明らかに見た目が純日本人でない娘を連れていると、よく話しかけられます。「ハーフですか?」と。「はい」と返して終わりの時もあれば「パパはどこの国の人ですか?」と夫への質問に進む事もあります。「イギリスです」で終わればいいものの、より深い夫への質問に発展することも。純日本人の子を連れていたら聞かれる必要のないことを日々受けます。それでも、夫が生きていた時は普通に答えることが出来ました。
夫が事故死をしてから、その質問をされるのがとても怖くなりました。電車や、遊び場などで誰かが娘を見ていても「話しかけないで欲しい」と必死に祈っています。
夫の死後、その時住んでいた家では一度も寝ていません。すぐに実家に娘共々移り住みました。働いていたので、娘は保育園に通っていましたが、実家からは遠く、私と両親とで娘をみていました。両親は働いているし、私は夫の事務手続きや警察への対応などで忙しく、その中で9ヶ月の娘の面倒をみるのはとても大変でした。

昨年の11月の頭に今年の4月からの認可保育園申込があったので、慌てて実家近くの保育園を何件か見学しました。

その中に、英語教育に力を入れている保育園がありました。見学中、他の保護者の方に「ハーフですか?家でも既にバイリンガルなんていいですね」と言われました。夫の事故死から1ヶ月ほどの時でした。何も返事は出来ませんでした。「全然よくなんかない。ハーフより、何より、パパが生きているのが一番」と思っていました。もちろん、その方に全く悪気はないのはわかっています。娘が小さ過ぎて、まさかもうパパが亡くなっているなんて誰にも想像出来ないんです。

このことを義理の妹に話しました。
「イギリスではミックスの子はたくさんいるから誰も聞く人はいない。シングルマザーも多いよ」と。
私がこうして質問されるのを怖がっているように、娘も将来嫌な思いをするのではないかと不安です。父親の記憶がない娘にどうやって説明をするか。まだまだ気持ちに不安定さがある私には到底出来そうもなく、この点に関しては娘がまだ小さ過ぎることに救われています。