『最後の雨』

さよなら呟く君が

僕の傘 残して 駆けだしてゆく

哀しみ降り出す街中が
銀色に煙って
君だけ 消せない

最後の雨に 濡れないように
追い掛けて ただ抱き寄せ 瞳 閉じた

本気で忘れるくらいなら
泣けるほど愛したりしない

誰かに 盗られるくらいなら
強く抱いて 君を壊したい

ほどいた髪を広げて
僕の夜 包んだ優しい人さ…

不安な波にさらわれる
砂の城 怖くて
誰かを求めたの?

強がりだけを 覚えさせたね
微笑みは もう 二人の夢を見ない

本気で忘れるくらいなら

泣けるほど 愛したりしない

さよならを言った唇も
僕のものさ 君を忘れない

明日の君を 救える愛は 僕じゃない
でも このまま 見つめている

言葉に 出来ないのが愛さ
言葉では 君を繋げない

行き場ない 愛がとまらない
傘を捨てて雨を見上げてた



やんだと思っていたら
また、急激に降りはじめた

叩き打ちつけるような雨水
足元ばかり濡れてしまう

靴が気になるけど辛抱する

私はレインシューズを
もっていない

靴が気になるけど辛抱する

私は一度もレインシューズを
買ってもらえなかった

買えない理由はお金が無いから
子どもながらに
はっきりと、わかっていた

歩きにくいから
運動靴でいいやろ?と言われた

うん...って言うしかなかった

運動靴は帆布みたいな布地
雨水を吸い込み靴が重たくなる

終いには足と靴の隙間に雨水が入り
その雨水が足にこすれ
キュッキュッキュッと鳴り出す

雨の日の当たり前
濡れた靴は乾かせば良いからと
言われた

乾かした靴は形が歪んでいた

靴は雨水を含みすぎると
水の中を歩いているみたいになり
汚らしくなるのが嫌だった

悲しくもなく情けなくもなく
感情が湧かない遠い記憶...

いまでもレインシューズを
買っていない

親への反抗の現れなのか?
自分でもよくわからない

雨水は我慢できると
植え付けられたからか?

でもそれは間違っている
雨水を舐めてはいけない
恐れるべきものである

そこに気づいたのは最近のこと

作 sakeyohana