【ごあいさつ】

こんにちは、フョードルです。


読み書きが困難で

リハビリにブログを書いています。

読んで何かしら感じてもらえたら嬉しいですが

何も感じなくても、読んでもらえることに感謝。

 コメントは励みになりますのでありがたいです。

お返事ひとつにも膨大なエネルギーが必要なため

返せないこともありますがご理解いただけると幸いです。

 



エピソード1 自転車


ある日のこと

我が家の自転車が自転車置き場からなくなった。

最後に見たのは前日の夜。


カギはかけてあった。


ほぼ毎日乗るので

ないととても不便である。


どこへ消えたんだ?


見つかるかもしれないので

交番に盗難届けは出したが…

しばらく歩くしかないな。


歩き生活3日目だったろうか?

買い物帰りに家の近くの川沿いを歩いていた。

家まではもう100メートルちょっとだろうか。

歩きなれた道は目新しさはないが

特には意味もなく、ふと路地に目をやる。


2度見した。

それはもう、マンガかドラマで見るような

華麗な2度見だ。


路地の木の陰に隠れるように

そっと赤い自転車が置かれていた。


自転車に近寄ってみる。

消えた我が家の自転車だ。


おいおい、自転車

こんなところにいたのか。

誰に連れて来られたんだ?


その場で交番に電話をして

自転車が見つかったと事情を話した。

自転車に触らずその場で待つよう言われた。

現状の確認をするそうだ。


『お待たせしてすみません』

届けを出した交番のお巡りさんが2人

自転車に乗ってやってきた。

1人はメガネの優しそうなおじさん。

もう1人は筋肉熱血系なお兄さん。


分かりやすいように

以下メガネと熱血とさせてもらう。


挨拶もそこそこに

メガネは私からもう一度事情を聞きメモを取る。

熱血は1人は自転車の状態をチェックして

防犯登録の確認なんかをしてるようだった。


『それにしても不思議ですねぇ』


自転車を調べていたお巡りさ…熱血の声に

ふと会話を止める。

『どうかしましたか?』と私が尋ねると

うーんと首をかしげながら

『なんでカギがかかってるんでしょう?』

『このカギは元々自転車に付いているカギでしょ?』


そうなのだ。

それは私も不思議に思った。

盗まれたのにカギがかかったままというのは

とても不自然というかヘンだなぁと。

キーも持ち歩いていなかったので

その場ですぐには動かせないから

先に交番へ電話したのだ。

『そうなんです、元々付いてるカギです』

『カギがかかったままでは乗れないですよね』


『キーはお持ちなんですか?』

メガネが尋ねてきたので

家にあるからと話し取りに帰った。


『お待たせしました。持ってきましたよ』

5分程で現場に戻ると

メガネと熱血は宝箱のキーでも見るような顔で

自転車のキーをみつめる。


『カギを開けてもいいですか?』

と尋ねるとメガネと熱血が縦に首を振り頷き

『開けてください』とメガネが言った。


ガシャンと音を立てカギが開くと

『おぉ…』と熱血が思わず心の声を漏らす。

コホン!と咳払いでごまかしながら

熱血が尋ねてきた。

『失礼ですが…ご近所でどなたかとトラブルは?』


『いやね、乗るでも売るでもなく

カギがかかったまま目立たない場所まで

数百メートルただ移動させただけとなると…

嫌がらせの可能性が高いと考えられます』


なるほど、嫌がらせか。


つづく