少し急ぐ必要があるかもしれません。まあ、大体のところは見て取れましたが、それでも全体を見ておく必要はあります。
今回は、第24条と25条です。
ここでも憲法を国民支配の道具立てにする意図がありますね。物言いが国民に対しての物言いです。
憲法は、主権者たる日本国民が定める者であって、日本国民はこのように国を運営していく、国際社会の中にあってこのような国を作っていく、そのためには公務員(為政者)はこのようにしなければならないという命令書なのです。
それを全く理解することができないのですね。自民党には憲法条文を考える資格はないです。
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第二十四条(自民党案)
家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。
2 婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
3 家族、扶養、後見、婚姻及び離婚、財産権、相続並びに親族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
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第二十四条(日本国憲法)
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
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憲法は、為政者に対する命令書であり、道徳の教科書ではありません。日本会議らの主張の一端を入れる必要はありません。一見もっともな内容ですが、それが押し付けであることが問題なのです。
そもそも道徳的な考え方を入れようとすること自体、そして、国民に対して物言いをしていること自体、憲法を国民支配の道具にしようとする意図以外の何ものでもありません。
いま、学校での歴史教科書や道徳教科書の採択に関して様々な卑劣な圧力が日本国中で起きています。
暴力を用いて奴隷的な盲従を強いる行為であり、日本国民の思いとは全くの逆です。この案を見ると、自民党はこのような行為を認めているのでしょう。
日本国憲法2項目と自民党案第3項では、それぞれの語句の意味と総合的な意味とが、日本国憲法と自民党案とでどう違うのかをはっきりさせる必要があります。
そのうえで、いかなる場合においても、公共の福祉に反しない限り自由を保障すると日本国民が定めるのです。
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第二十五条 (自民党案)
全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、国民生活のあらゆる側面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
(環境保全の責務)
第二十五条の二 国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。
(在外国民の保護)
第二十五条の三 国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない。
(犯罪被害者等への配慮)
第二十五条の四 国は、犯罪被害者及びその家族の人権及び処遇に配慮しなければならない。
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第二十五条(日本国憲法)
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
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う~ん、何なのでしょうか、これは!
入れるところが見つからなくて、どこでも構わん、ぶち込め!式の条文ですか?
環境保全、
「良好な環境」とは何でしょうか? いま、日本国中で美しい海岸や歴史的景観が心無い工作物によって壊されています。これら一つ一つを取り上げて、どのように考えているのかを明らかにしてもらう必要があるでしょうね。
内容は必要ですが、その内容は何を言っているのかを明確に規定する必
要があります。
在外国民の保護、
よく引き合いに出される、危険な状況から国外脱出するのに自衛隊は何
もできなかった、というあれでしょうか。
昨今の世界情勢を見ると、国外に滞在している日本国民の基本的人権を
保護する目的での行動ならば、自衛隊の海外での人命保護活動も可能とし
ておくべきとは思いますが、自民党案では基本的人権を国民から剥奪して
いますので、どう整合性を取るのでしょうか。
犯罪被害者への配慮、
人権の制約を行っているのに、ここではもっともらしい条文を掲げてい
ますね。危ない、危ない!
首相の側近が犯罪的行為を行ったにもかかわらず、それをもみ消してい
ました。それに対する被害者への配慮とはどのようなものだったのでしょ
うか。
これらの条文はもっともらしい内容ですが、憲法に規定する必要がある
かどうかは検討しなければなりません。
憲法は、日本国民が定めるものであって、日本国民が押し付けられるも
のではありません。日本国民が自分自身へ言うことです。法律でも対応で
きることなのか、憲法条文として必要なのか、ということです。